日本アバイアは2011年12月15日、「コラボレーションの転換期となった2011年を振り返る」と題したプレス向けイベントを開催し、ユニファイドコミュニケーション(UC)事業の現況や今後などについて説明した。
企業は真剣にコラボレーションについて考え始めた
“転換”をもたらしたのは、もちろん3月11日に発生した東日本大震災である。同社代表取締役社長のロバート・スチーブンソン氏は「震災によって、コミュニケーションの在り方に関するマインドシフトがかなり進展した。会社の対応力を高める一環として、コラボレーションの技術を最大限に活用して『より有機的で、よりモバイルで、より柔軟性の高い組織を作るべきだ』と企業は考えている。このことは我々だけでなく、UC業界全体にとって極めて大きな意味を持っている」と話した。
実際、震災をきっかけにユーザー企業からの相談は急増しているそうだ。例えば、BCP対策や在宅勤務などを考えたときにコミュニケーションはどうあるべきなのか、震災ではTwitterなどのソーシャルメディアが活躍したが企業はどうソーシャルメディアを取り入れていけばいいのか、さらには「軽井沢や北海道のホテルを借りて何千人の従業員を数カ月間移す場合、どのようなコミュニケーションインフラを作ればいいのか」などの相談が持ち込まれているという。
また、震災だけでなく、日本企業の海外進出がさらに加速していることも、企業の間でコラボレーションニーズが高まる重要なドライバーになっているとスチーブンソン氏は語った。「円高が続くなか、日本企業は、国内と海外での分散型での研究開発や中国市場への参入などを今まで以上に真剣に考える必要に迫られており、これがコラボレーションへのニーズになっている」
iPad向けのアプリ展開やCaaSに注力
アバイアは10月から新年度がスタートしているが、前年度の日本法人の売上はトータルで約20%の伸び率を記録。「皆さん驚かれるだろうが、アバイアの中で世界一成長した国が日本だった」という。売上規模の面では、日本アバイアの売上の8割を占めるコールセンター事業の貢献が大きいが、成長率ではUC事業はトータルの成長率20%を超える伸びを達成したとのこと。UC事業をもう1つの柱に育てていくことは、日本アバイアにとって大きなテーマであるが、「3年後には間違いなく、今のコールセンターのビジネスと同じ規模になる」とスチーブンソン氏は自信を見せた。
この目標を実現するため、今年度注力していくことの1つが「Avaya Flare Experience」のマルチデバイス展開である。Flare Experienceは、音声、ビデオ、IM、メール、ソーシャルなど多様なコミュニケーション手段を直感的操作で統合的に扱えるユーザーインターフェース。Flare Experienceの対応端末として、すでに専用端末「Avaya Desktop Video Device」を提供しているが、来年から順次iPadやAndroid、Windowsなどにも対応させていく。特に重視しているデバイスはiPadだそうで、「アップル社と我々はかなりの勢いで急接近している」とのことだ。
また、コミュニケーションインフラをサービスとして提供するCaaS(Communication as a Service)に取り組んでいく考えも明らかにされた。「我々はUC市場で、コールセンター市場のようにトップシェアを取っていないことを考えると、CaaSという新しいやり方を武器として考える必要がある」
Flare Experienceのマルチデバイス展開とCaaSの詳細については来年改めて発表を行うという。