クラウド時代のイーサネットスイッチ最新動向[第2回]~次世代イーサネットの最前線を知る

クラウド/仮想化が急速に進展するなか、データセンター向けイーサネットスイッチも技術的に大きな転換期を迎えている。本連載では3回にわたり、クラウド/仮想化時代のイーサネットスイッチ最新動向について紹介していく。第2回は、ファブリック、TRILL、SPBといった次世代イーサネット技術の最新動向を解説する。

前回はクラウド/仮想化時代を迎えるなか、イーサネットがどのような課題に直面しているのかを見た。今回はこうした課題をクリアしていくために登場している最新技術を紹介していこう。

キーワードは「ファブリック」

各社の次世代イーサネットスイッチの製品サイトを見ると、「ネットワークファブリック」や「イーサネットファブリック」「データセンタファブリック」といった言葉が頻繁に登場してくる。そこで、最初に「ファブリック」についておさらいしておこう。

ファブリックは元々SANを構築するときに使うFCスイッチの接続方式の1つを表すのに使われてきた言葉で、FCスイッチ同士を相互接続することを指す。ファブリック接続は、Point-to-PointやFC-AL(Fibre Channel Arbitrated Loop)の持つ欠点を解決した接続方式だ。ファブリックならスイッチが増加しても性能が低下せず、一部の接続で障害が発生しても、他の接続に影響を及ぼさない。

そこで、ベンダ各社はイーサネットの世界にもファブリックを導入することで、第1回で解説した3つの課題を解決していこうと取り組んでいる。それが「ネットワークファブリック」「イーサネットファブリック」「データセンタファブリック」であり、アクティブリンクから構成されるスイッチネットワークを表す言葉になった。

ちなみにファブリックを直訳すると「布地」「織物」となる。布地は縦糸と横糸から構成されているが、スイッチを相互接続したときのケーブル配線の様子がこれに似ていることから、ネットワークの世界でも使われるようになった。例えば、布地の一部の糸が切れても布地全体がほどけてしまうことがないのと同じように、ファブリックも1つの経路が切れてもネットワーク全体が影響を受けることはない。

■ファブリックで「ツリー」から「フラット」へ移行

データセンタのスイッチネットワークを従来のツリートポロジからファブリックに移行すれば、ネットワークは3階層から2階層、そして最終的には1階層のフラットな形態にシフトすることができる。その結果、トラフィックが通過しなければならないスイッチ数が少なくなり、遅延やパケットロスの発生を抑えることができる。また、ファブリックは単一デバイスとして管理およびプロビジョニングできるので、データセンタネットワークの運用面での複雑化を回避でき、スイッチ設定に関する一般的エラーの発生を抑えることにも役立つ。

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