NTTドコモは2023年10月25日、マーケティングソリューションに関する記者説明会を開催し、流通小売業向けの新サービス「ドコモリテールDXプログラム」の提供を開始すると発表した。合わせて、NTTドコモ・ベンチャーズがリテールDXを支援するフェズに出資を行ったことも明らかにした。
NTTドコモ スマートライフカンパニー マーケティングイノベーション部 部長の石橋英城氏
ドコモは10月23日にマーケティングリサーチ大手のインテージホールディングスを子会社化するなど、マーケティング領域のビジネスを拡大している。これまでも、9600万人におよぶdポイントクラブ会員やプロフィリングAIである「docomo Sense」などのテクノロジーを基盤とし、様々な企業のマーケティング支援を行ってきた。
今回発表したドコモリテールDXプログラムは、こうしたドコモのアセットにインテージHDが持つデータ分析力を掛け合わせ、大手から中小・地場企業まで流通小売業のマーケティングを支援しようとするものだ。これに、ID-POSを活用したリテールDXを推進するフェズの知見も加わる。
NTTドコモ スマートライフカンパニー マーケティングイノベーション部 部長の石橋英城氏は、大手が寡占する米国の流通業界はリテール企業が主導して業界DXが進むが、日本は地域密着型のGMS(総合スーパー)が多く、消費が分散するため企業ごとのDXが難しいと課題を指摘した。石橋氏は「DXに投資するお金は一定以上かかる。そうした課題もわれわれのアセットを活用することで解決していける」と意気込みを述べた。
そうした課題解決につながる具体的なサービスが、同プログラムの柱の1つである「リテールDXダッシュボード」だ。会員基盤、位置情報、属性情報というドコモのアセットに加え、加盟店舗の購買情報であるID-POSを連携させ、docomo Senseによる分析を行う。ダッシュボードでは、店舗に来る顧客の居住エリアや属性を表示する「自社顧客エリア分析」、実際に来店した顧客データから潜在顧客を推計する「来店予兆分析」などを提供する。これらの機能はID-POSデータを常時連携するdポイント・d払い加盟店は無料で利用が可能という。
「リテールDXダッシュボード」で提供するメニュー
石橋氏は「インテージとの協業でダッシュボードをアップデートしていきたい」と語り、インテージが持つSCI(全国消費者パネル調査)やレシートデータという購買データを活用し、他店舗での購買についても分析を広げる考えを示した。来店可能性が高い顧客の想定購買金額を予測することで、ストアマネジメントの改善に利用してもらいたいという。