基礎から学ぶ「MDM(モバイルデバイス管理)ツール」の選び方

企業がスマートフォン/タブレットを活用するうえで、必須の管理ツールとなるのがMDM(Mobile Device Management)だ。今年に入って急速に充実してきたMDMの基本機能や仕組み、選択におけるポイントなどをレポートする。

トレンドはマルチOS対応

iOSとAndroidの管理機能の差、そしてMDMの仕組みの違いにより、従来はiOSかAndroidのどちらかに対応したMDMがほとんどだった。だが、現在は、iOS用のMDMがAndroidを、Android用MDMがiOSをサポートする動きが加速している。

複数OSの端末を同一の管理コンソールから一元管理できる利点は、あえて説明するまでもないだろう。国内では最も早くiOS用のMDMサービス「CLOMO MDM」を2010年11月から提供開始したアイキューブドシステムズは、今年6月にAndroidに正式対応。いち早くマルチOSサポートを実現した。

同社・マーケティング本部の深野慧甫マネージャーは「iOSに比べるとAndroid向けの管理機能はまだ限られるのが現状だが、それでもお客様からのAndroid対応の要望は強い。マルチOS対応は大きな強みになっている」と話す。CLOMO MDMは、稼動端末数がすでに2万台に達しているが、「ほぼすべてがiOSのユーザー。Android端末の導入が本格化する今後は、非常に楽しみ」という。

マルチOS対応のMDMとしては他に、モバイルアイアン・ジャパンの「MobileIron Virtual Smartphone Management Platform(VSP)」がある。同社は2010年にiOS端末向けのMDMを提供開始。iOS/Androidに加え、BlackBerryやWindows Phone等も含めたマルチプラットフォーム対応を進めている。

モバイルアイアン
モバイルアイアン・ジャパンのMDMの管理画面。iOS、Android、BlackBerry、Windows Mobileと、複数OSの端末を一元管理できるのが特徴。MDMではこのように、多くの端末を一覧で管理できるほか、個々の端末の詳細情報も遠隔から確認できる。ポリシーに違反した端末は赤字で表示され、右側の詳細画面では、その違反した原因を確認できる。この画面では、TwitterをインストールしたiPadが(画面右下に赤く表示)、違反端末と判別されている

同社・シニアセールスマネージャーの竹内浩氏は、スマートデバイス導入の課題について「端末の数、OSの種類が増えるだけでなく、たった数年でOSシェアがガラっと変わる現状が、企業の対応を難しくしている」と話す。iOSとAndroidは市場を席巻する勢いを示しているが、今後どのように推移していくかは誰にも確たる予測はできない。OSの趨勢が変わったとしても「柔軟に対応できるマルチOSのサポート体制を作ることが、IT管理部門の役割になっている」のだ。

Windows PCも統合管理
企業が利用する各種のモバイル端末を一元管理する統合プラットフォーム。これがMDMの今後の方向性となりそうだ。富士通BSCもそのための開発を進めている。

富士通BSCのFENCE-Mobile RemoteManagerはAndroid端末をサポートしているが、今秋にもiOS端末とWindows PC(XP以降)に対応する予定。前述したように、MDMサーバーからのコマンド伝達にSMSを用いているため、通信モジュール等を内蔵しているPCであれば、iOSやAndroid端末と同様の仕組みで管理できる。

同社は従来、PC向けの各種セキュリティソリューション「FENCEシリーズ」を提供してきており、例えば保険外交員などのノートPCを活用してきた業種で、Windowsタブレットへの置換えが進んでいるという。パッケージ&サービス本部サービス事業部アウトソーシング部の新谷剛担当部長は「営業プレゼンを行う業種などを中心に、富士通のWindows 7タブレットの商談が増えている。AndroidやiOSと一緒に管理したいという要望は当然多くなる」と話す。

以上、MDMの基本と選択のポイントについて本稿では解説した。

月刊テレコミュニケーション2011年9月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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