事例続々! 企業のスマートフォン活用動向――「業務専用端末」置き換えが本格化

スマートフォンを活用した業務ソリューション提案が勢いを見せ始めている。Windows phoneとiPhoneを例に、携帯電話にはない特徴を活かしたソリューションの最新動向を紹介する。

他国に類を見ないほど携帯電話が高機能化した我が国では、従来から携帯電話を活用した業務ソリューションの開発・展開が進められてきた。その意味では、スマートフォンがもたらすインパクトは大きくない。むしろ、「スマートフォンで何が変わるのか」と様子見をしているというのが、多くの企業の現状だろう。

とはいえ、スマートフォンやMIDが魅力的なデバイスであるのは確かだ。リッチコンテンツを扱える性能・画面サイズ、UIの豊かさ、アプリケーション開発の自由度の高さと開発コスト抑制効果などの特徴を活かせるからだ。

ガートナー ジャパンの調べでは、2008年11月時点におけるスマートフォンの導入意欲は下記の図表の通り。実績こそ頼りないものの、1年前の時点でも多くの企業が「興味」を示していることがわかる。同社アナリストの堀勝雄氏によれば「スマートフォンに関する企業からの問い合わせは確実に増えている」という。実施、導入事例も増えてきている。ここでは、Windows phoneとiPhoneの最新動向を紹介しよう。

図表 日本企業における従業員規模別スマートフォンの導入意向(N=1000)
日本企業における従業員規模別スマートフォンの導入意向(N=1000)

国内最大級のスマートフォン導入事例が誕生

2009年11月12日、国内で正式発表されたマイクロソフトのWindows phone。だが実は、その1カ月前の10月15日に佐川急便が、ある重大なニュースを発表している。

2010年10月から、集配業務用の端末としてバーコードスキャナ付きスマートフォンを導入する――。

この「バーコードスキャナ付きスマートフォン」とは、ドコモが2010年度第1四半期に発売予定の富士通製Windows phone端末のことだ。QRコードなどの2次元バーコードを活用した業務の拡大とFOMAハイスピードによるデータ送受信時間の短縮、また音声端末と業務用端末の統合による端末台数の削減、小型軽量化・タッチパネルの採用によるドライバー業務の簡素化など、佐川急便が寄せる期待は大きい。導入台数は2万4000台を予定しており、スマートフォン導入事例としては最大級の規模となりそうだ。

佐川急便が導入を決めたバーコードスキャナ付きスマートフォン
佐川急便が導入を決めたバーコードスキャナ付きスマートフォン

マイクロソフトの越川慎司モバイルコミュニケーション本部長によれば、「業務端末としてのスマートフォン導入は大きく伸びている」という。企業の関心は、言うまでもなく導入コストの低減にあり、1台当たりで20万~30万円が相場だった業務専用端末に比べ5万円前後の端末コストは大きな魅力だ。さらに、Windowsベースの既存社内システムとの連携も図りやすく、開発コストも抑制できる。

Windows phoneのUIは、スタイラス操作が基本だった従来のWindows Mobileとは異なり、指での動作が基本。「業務端末として不可欠な『片手での操作』がしやすくなった」(越川氏)。同氏は、「佐川急便の事例は氷山の一角。今後1~2年は、既存の業務端末ユーザーが大量にリース切れを迎える時期でもある。そこに入っていく余地は十分にある」と今後を展望する。

月刊テレコミュニケーション2009年12月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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