通信モジュールの進化により、あらゆるモノの見える化が可能に
講演では、マシンコミュニケーションの紹介にも力が入れられた。マシンコミュニケーションとは様々なデバイスに通信機能を持たせたソリューションのことで、位置確認ソリューションや自販機の管理システムなどが代表例として挙げられる。M2Mと呼ばれることも多い。
青山氏は、「通信モジュールの技術進歩により、『大から小』『静から動』のあらゆるモノの見える化が可能になった。これにより、例えば製造業の方が通信モジュールを搭載した機器を販売することで、製造業の枠を超えたサービス業へと事業領域を拡大できる」と説明。企業が新しい価値を実現していくうえで、マシンコミュニケーションは重要な役割を果たすと訴えた。
マシンコミュニケーションの代表的なソリューションと導入業種 |
その具体例の1つとして青山氏が示したのは、日産自動車の電気自動車(EV)のケース。EVに通信モジュールを搭載し、ケータイやスマートフォン、PCからの遠隔操作で、エアコンの制御、バッテリー残量の確認、充電の開始などが行えるようになっているという。この日産自動車のシステムは、今年スペイン・バルセロナで開催された世界最大のモバイル展示会「Mobile World Congress 2011」において、2011年グローバルモバイル賞の「自動車・輸送部門ベストモバイルイノベーション賞」を受賞したそうだ。
今やビジネスに携帯電話を活用していない企業はない。とはいえ、「電話」や「メール」での活用がまだ大半という企業は少なくないだろう。「これまでの10年はモバイルの可能性を追求してきたが、これからの10年はモバイルを核とした“総合サービス企業”への進化を目指す」と青山氏は講演を締めくくったが、ユーザー企業においては今いよいよ、モバイルの可能性を本格的に追求していくべきときが来たと言えそうだ。