KDDIは2023年8月25日、岐阜県高山市丹生川町の乗鞍岳畳平バスターミナルで、衛星ブロードバンドのStarlinkをau通信網のバックホール回線として利用する5G基地局の運用を同月26日に開始すると発表した。Starlinkをau通信網のバックホール回線として利用する5G基地局の運用はこれが初めてとなる。
乗鞍岳畳平バスターミナルでのStarlinkアンテナ設置の様子
乗鞍岳畳平バスターミナルは、標高2702メートルに位置する「日本一高いところにあるバスターミナル」だ。乗鞍岳の登山客のアクセス拠点の1つとなっている。これまでは光ファイバー回線の敷設が難しく、遠く離れた麓の基地局から通信エリア対策を実施していたが、電波状況によっては通信が不安定となる場合もあったという。
今回、バスターミナル内にStarlinkをバックホール回線とした基地局を新設することで、より快適に音声通信・データ通信を利用できるようになるとしている。非常時の通信手段の役割に加え、快適なキャッシュレス決済や、動画などのリアルタイムな共有など、体験価値の向上にも貢献することを謳っている。
乗鞍岳畳平バスターミナルでの基地局設置工事の様子
2022年12月からKDDIはStarlinkをau通信網のバックホール回線とした4G基地局の整備を進めてきた(参考記事:Starlinkで4Gエリアを構築 KDDIが山間部や離島でのDX実現手段|BUSINESS NETWORK)。技術検証の完了を受け、Starlinkの5G基地局への適用を開始したという。
KDDIは「光ファイバー回線を利用した通常のau基地局で展開するエリアに加え、山間部や島しょ地域など光ファイバー回線を敷設しづらい地域を補完することで、auの5Gエリアを日本中に展開できるようになる」としている。