SPECIAL TOPICOSS/BSSでエンドツーエンドの自動化 AI活用で“真のOSS”を具現化

「95%のアラート削減を98%にまで高めたい」と、コマーチのウカシュ・ゼズラク氏は意気込む。しかし、コマーチのOSS/BSSの実力は障害対応の自動化に留まらない。O-RANやネットワークスライシングの実現にも大きく貢献する。コマーチのソリューションが、ますます複雑化する通信事業者のネットワークの管理、そしてサービスの安定提供を支援する。

O-RAN実現もOSS

O-RANは携帯通信事業者の大きなテーマだ。O-RAN Allianceの一員として、コマーチも普及に努めている。複数ベンダーの機器が混在する環境を管理することを前提としているOSSから見れば、管理する対象の1つにRANがあり、その隣にトランスポートやコアがあるという構造になる(図表2)。このE2E(エンドツーエンド)オーケストレーションアーキテクチャは、コマーチがすでにOSSで培ったコンポーネントを用いて構築されている。

図表2 コマーチ E2Eオーケストレーションアーキテクチャ

図表2 コマーチ E2Eオーケストレーションアーキテクチャ

同社 ビジネス開発マネージャーの下稲葉健児氏は、オーケストレーションは、もともとは組織的に行っていたことを技術的に行おうとするものだと語る。「従来は伝送、交換、無線、電力という設備のカテゴリごとに組織も構成されていた。それぞれの装置から上がってくるアラートを人的に組織が連携し合って対応していたが、E2Eオーケストレーションは連携する装置に横串を刺して全体を監視することができる」

コマーチ・ジャパン ビジネス開発マネージャー 下稲葉健児氏

コマーチ・ジャパン ビジネス開発マネージャー 下稲葉健児氏

O-RANが目指すインテリジェント化とコスト削減を実現するにも、OSSが大きく貢献する。

スライシングにもBSS

一方、ユーザーとの接点になるのがBSSだ。エンドユーザーがサービスを追加したい場合、キャリアショップに足を運ばずとも端末から手続きが可能になるケースが増えてきたが、こうしたことを実現しているのがBSSだ。

しかし、ゼズラク氏は「BSSとOSSが動いていても、両者をリンクさせるサービスマネジメントが欠けていることが多い」と指摘する。BSSとOSSが十分に連携されておらず、人手を必要とするならば、ユーザーに対して限られたパターンの手続きしか提供できないことになり、満足度が高まらない。

これが問題となることが予想されるのが5Gのネットワークスライシングだ。スライスを技術的に用意できても、柔軟かつスピーディーに利用できなければ本来のポテンシャルは発揮できない。コマーチのBSSとOSSは、ユーザー企業がスライスの作成・削除やスペックの編集などを自在に行えるようにする。これにも、E2Eオーケストレーションによる包括的な管理・運用が欠かせない。

MIRAでさらなる高度化へ

コマーチは、国際的なイノベーションアワードを受賞したMIRA(Multicriteria Intelligent Resource Allocation)に今、最も力を入れている。

今後ネットワークはさらに複雑化し、ビジネスポリシーやエネルギー効率など、技術面以外の側面を考慮する必要が高まる。互いに関連するそれらの要素を人手で管理するのはもはや不可能だ。MIRAは高度なAIが動的に設定を行い、最小限のコストと時間でリソースを活用することを通じてネットワークの効率性の向上を図る。

あらゆる要件を自動で満たし、多様なサービスの提供を可能にするMIRAは、コマーチがOSSで目指す自律型ネットワークの実現の重要な一手となるだろう。

<お問い合わせ先>
コマーチ株式会社
E-mail:telco-enquiries@comarch.com

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