光伝送の今と将来を4論点から見る 大容量化と省エネをいかに両立するか

「大容量化」と「省エネ」を両立する新技術が次々と登場し、さらに「IP/光統合」と「オープン化」も加速する光伝送の世界。目覚ましく進歩する業界の最新トレンドを、4つのキーワードで理解しよう。

今や社会インフラと化した光ネットワークは膨張の一途を辿っている。増え続けるトラフィックをさばくために伝送容量を増大させる一方、省エネルギー化や低コスト化、運用の効率化/自動化、信頼性向上など様々な要求が突きつけられている。

背景にあるのは次の3つの変化だ。動画配信やスマートホームをはじめとした、クラウドに依存する家庭・モバイル向けサービスの増加が1つ。2つめが、オフィス・工場等の企業の拠点とクラウドとの間のトラフィック急増だ。

3つめに、クラウド/データセンター(DC)の分散化がある。旺盛なDC需要に応えるかたちで増設が続いていることに加えて、日本シエナコミュニケーションズ システムエンジニアリング本部 第1技術部 担当部長の滝広眞利氏は「低遅延化を目的としたDCの分散化も進む。これらによってDCI(データセンター間接続)に莫大なトラフィックが生まれてくる」と話す。

「1波1Tbps超」時代に突入

こうした状況下で、クラウド/DC事業者や通信事業者/ISPらが最優先で取り組まなければならないのが、大容量化と省エネ化の両立だ。

これは、100Gから200G/400G、その先の800Gと新たな伝送技術を採用するモチベーションとなる。100G回線を2本、4本と増やしていくのに比べて、「ビット当たりの消費電力」を低減できると同時に、機器数・設置スペース、冷却に費やす電力も抑えられるからだ。光伝送製品を開発・製造するCoherentの日本法人でセールスマネージャーを務める米田和洋氏は、「伝送容量に比例して増える消費電力をいかに減らすかが、製品選定において間違いなくキーになる。低消費電力化は必須要素だ」と語る。

1波長で伝送できる情報量は、2000年代の10/40Gbpsから2010年代に100~400Gbps、そして2020年代の800Gbpsへと進化してきた。その過程で、特に近年のDSP(デジタルシグナルプロセッサ)開発では低消費電力化がフォーカスされている。

例えば、2017年にシエナがリリースした、1波400Gbpsの第4世代チップセット「WaveLogic Ai(WL Ai)に比べて、2024年に出荷を予定する1波1.6Tbpsの第6世代チップ「WaveLogic6e(WL6e)」のビット当たり消費電力は約4分の1になる。機器スペースも大幅に削減され、400GbEを32回線、12.8Tbpsを伝送するケースで、WL Ai搭載機器の6RUに対し、WL6e搭載機器は2RUで済む。

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