クラウド化のトレンドのなか、ネットワーク機器ベンダー各社はデータセンター向けソリューションに注力しているが、2011年8月26日、日本アバイアが同社のデータセンター向けネットワーク仮想化アーキテクチャ「Avaya VENA」を拡充する2つの新製品を発表した。Top of Rack(ToR)スイッチの「Avaya VSP 7000」(Avaya Virtual Services Platform 7000)と、プロビジョニング自動化ソフトウェア「Avaya VPS」(Avaya Virtualization Provisioning Service)の2つだ。
IEEE802.1aq(SPB)に対応したToRスイッチ「Avaya VSP 7000」の主な特徴。1G/10Gポートを24ポート搭載。また、40G/100Gにも今後サポートする予定だという |
新製品の紹介に入る前に、データセンターネットワークが現状抱えている課題について、同社の解説をもとに見ていくことにしよう。
新アプリ導入時のネットワーク変更に6カ月かかるケースも
「ネットワークが仮想データセンターのボトルネックになっている」という指摘は最近よく聞かれるが、日本アバイアの山中幸代データソリューションマネージャーによれば、データセンターに新しいアプリケーションを導入する際のネットワーク変更には最短でも48時間、6営業日がかかるとのこと。
「しかも、変更のためにネットワークのコアを停止できる機会は年に数回。また、ネットワーク障害のうち人為ミスが原因のケースは37%にも上っており、慎重な作業が求められる。このため、実働としては48時間だとしても、実際に変更できるまでには1~2カ月、場合によっては6カ月かかってしまうこともある」という。仮想化技術によりサーバーやアプリケーションは迅速・柔軟な展開が可能になったが、ネットワークが足枷になっているというわけだ。
そこで日本アバイアが昨年11月に発表したのがAvaya VENA(Avaya Virtual Enterprise Network Architecture)である。Avaya VENAは、IEEE802.1aq Shortest Path Bridging(SPB)を活用したイーサネットファブリックソリューション。複数の物理スイッチを仮想化しAny to Anyのマルチポイント接続を実現することで、高可用性と帯域の有効利用、そして容易なプロビジョニングを可能にする。
Avaya VENAならネットワークをシンプルにできるという |
従来、日本アバイアではSPB対応のスイッチとしてコア向けの「VSP 9000」などを提供していたが、今回発表したToRスイッチのVSP 7000により、コアからエッジまでエンドツーエンドでのSPB対応が可能に。これにより、エッジスイッチの設定を変更するだけで、コアも含めた仮想ネットワークの設定が行えるようになったという。その結果、必要な作業は最短48時間から4時間15分に。また、コアを止めることなく、ネットワークの設定変更が行えるため、実際のアプリケーション導入時間も大幅に短縮できるという。
最短48時間かかっていたアプリケーション導入にともなうネットワークの設定変更が4時間15分に短縮 |
なお、SPBに対抗する標準技術としてIETFのTRILLがあるが、山中氏はSPBの優位点として信頼性を挙げた。「TRILLと違って、Q-in-QやMAC-in-MACといったすでに実績のある技術をSPBは使っている」。また、SPBの標準化作業はアバイアのほか、アルカテル・ルーセントやファーウェイ、シスコが中心になって進められているが、現時点でSPB対応機器を商用化しているのはアバイアだけ。VSP 7000は業界初のSPB対応ToRスイッチだという。
SPB(Shortest Path Bridging)の概要 |