甚大なる被害をもたらした東日本大震災は、企業活動の根幹を支えるコミュニケーションインフラをも機能不全に陥れた。震災直後には、携帯電話や固定電話はほとんどつながらなくなった。また、その後も交通機関の混乱、在宅勤務・自宅待機の実施など、オフィスへの出社が困難な状況がしばらく続いた。電力不足対策として今夏、輪番休業や在宅勤務を実施している企業は少なくなく、依然この状況は継続中といえる。
日本企業の多くは社員全員がオフィスに集まって仕事することを前提に、社内コミュニケーションインフラを設計してきたが、今回の大地震ではその「前提」がもろくも崩れ去ったのである。
もちろん電話やメールなど、離れた社員同士がコミュニケーションするための仕組みは、ほとんどの企業にある。しかし、電話やメールだけで、在宅勤務などのテレワークを成功させることは難しい。これらのツールは「連絡」には向くが、「コラボレーション(共同作業)」には適していないからだ。
そこで企業の関心が高まっているのが、社内SNSである。今回の大震災ではTwitterやFacebookなどに代表されるソーシャルメディアの活躍が大きな脚光を浴びたが、実はそれは企業の中においても同様だった。「ポスト3.11」時代のコミュニケーションインフラの構築が求められているなか、社内SNSはどのような役割を果たすのか。国内の社内SNS市場でシェア第1位(ミック経済研究所調べ)のBeat Communicationの村井亮代表取締役に聞いた。
Beat Communication 代表取締役 村井亮氏 |
社内SNSとは?
社内SNSとは、その名前の通り、会社内で利用されるSNSのことである。FacebookやTwitterなどとの最大の違いはクローズドである点。参加できるのは自社やグループ会社の従業員に原則限られるため、安心して業務上の話題について、やりとりすることができる。
この点を除けば、基本的な機能や使い方は、一般的なSNSとそう大きくは変わらない。例えばBeat Communicationの社内SNSパッケージ「Beat Office」の場合、コミュニティ/日記/Q&A/アンケート/WiKi/ミニブログなどの機能を備えている。ミニブログとはTwitterのように、短い文章でやりとりする機能だ。また、実際にどの機能を利用するかは、その企業のポリシーによってカスタマイズできる社内SNSがほとんどである。
Beat Communicaitonの社内SNS「Beat Office」のトップ画面例 |
ソーシャルメディアの特色は、従来つながりのなかった人同士などが、ネットワークを介してカジュアルにつながれることだ。こうした利点を社内コミュニケーションの活性化などに役立てようと、社内SNSの導入企業は大企業を中心に増加している。