KDDIスマートドローンと飛島建設は2023年6月22日、無線電波の届かない不感地帯においてStarlink の衛星通信を活用したドローンの自律飛行、映像伝送の実証実験を実施したことを発表した。
同実証の様子。左がSkydio Dock、右がStarlink
実証は2023年5月12日に行われた。両社は、建設分野における人手不足解決や生産性向上に向け、建設現場でのドローン活用に関する共同研究を2022年から実施している。山間部の建設現場では、光ファイバー敷設に大規模工事が必要であるため通信環境の整備が容易ではなく、ドローンの遠隔制御や映像のリアルタイム伝送が行えないことが課題だという。
今回、このような課題解決に向け、KDDIが提供する「STARLINK BUSINESS」と、Skydioが提供する「Skydio Dock and Remote Ops.」により、Starlink の衛星通信を活用したドローンの自律飛行、映像伝送に関する実証実験を実施した(参考記事:Starlinkでスマートドローンの活用エリアを拡大、KDDIスマートドローン|BUSINESS NETWORK)。
その結果、Starlinkの特徴である高速・低遅延な通信により、点検・巡視中に通信が途切れることなく、遠隔でのSkydioの自律飛行や映像伝送が可能であることを確認したという。
ドローンの点検・巡視を遠隔で行う様子
飛島建設 技術研究所 研究員の勝部峻太郎氏によると、建設現場やインフラ施設の遠隔自動監視や、その情報を活用した3Dモデル化や測量に用いるためにドローンを活用する開発を進めているが、山間部の現場では通信環境の構築が困難であるなどデジタルデバイドが課題となっていたという。勝部氏は、この実証でSkydio DockとStarlinkを組み合わせた運用の有効性が確認できたので、今後も建設現場の生産性向上に向けて引き続き検証を進めていきたいとコメントを寄せている。
両社は同実証の結果を踏まえ、不感地帯にある建設現場やインフラ施設の点検・巡視業務において、Starlinkとドローンの実装に向けて共同研究を進めていくという。また、KDDIスマートドローンは、自然災害時における災害状況の把握や緊急物資の配送などにドローンの利活用の幅を広げることで、顧客や社会の課題解決に積極的に取り組んでいくとしている。