SPECIAL TOPIC6Gに「ソフトウェア無線」で貢献 2つの新通信方式をミリ波で実証

構造計画研究所(KKE)は、長年培ってきたソフトウェア無線(SDR)技術を用いて、ミリ波対応の5G通信試験装置を開発。これら試験装置に、Beyond 5G/6G向けに電気通信大学が考案した2つの新しい無線通信方式を実装し、実機検証に成功した。KKEは、SDR技術を軸に、Beyond 5G/6G時代の多様な無線技術開発をサポートしていく。

2030年代の普及が見込まれているBeyond 5G/6Gでは、5Gの特徴である「高速大容量」「高信頼・低遅延」「多数接続」の3つの通信要件のうちの複数を同時に満たすことができる技術が求められている。

構造計画研究所(KKE)と電気通信大学は2023年5月、このうち「多数接続」と「低遅延」を同時に実現する無線通信方式を、世界で初めてミリ波で実証したと発表した。この実証に使われたのが、KKEがソフトウェア無線(Software Defined Radio:SDR)技術を用いて開発したミリ波対応の5G通信試験装置である。

SDRにより低コストで無線試験装置を開発

建設、防災から情報通信、製造、意思決定など、幅広い分野で技術コンサルティングやソフトウェア開発事業などを展開するKKEは、2013年頃からSDRに注力している。

SDRは、無線機の通信機能をソフトウェアで実装・変更できる技術だ。専用ハードウェアによって固定的に通信方式を実装している従来の無線通信システムに対し、SDRはソフトウェアや、FPGAなどのプログラマブルなハードウェアを用いて、単一のデバイスに様々な通信方式や周波数帯を実装することができる。

KKEは、SDRを採用したGNSS信号ジェネレータなどの開発・販売、SDRデバイスを用いた無線通信の信号処理について学べる教材の販売やセミナーの開催など、SDR関連の多様な事業を展開してきた。こうして培ってきたSDR技術を活かし、無線通信システムの研究開発支援や試験装置の開発にも取り組んでいる。

「SDRを使うことで、これまでの無線システム開発において高い比重を占めてきたハードウェア開発を圧縮でき、ソフトウェア開発によりたくさんの工数をかけられるようになります。その結果、付加価値をいっそう高められるだけでなく、開発期間・予算の節約にもなり、トータルコストも削減できます」。KKEの家哲也氏は、SDRを用いた無線試験装置の開発の利点を、こう説明する。

構造計画研究所 通信工学部 家哲也氏

構造計画研究所 通信工学部 家哲也氏

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