今では様々なベンダーから、基地局と5Gコアネットワークが提供されるようになったローカル5G。これから導入・評価を始めたい人にとっては、製品選択の幅が広がった反面、自社に最適な構成を探すのが難しい状況にもなっている。
そんな時に頼りにしたいのが、様々なベンダーの製品に精通し、ローカル5Gの構築ノウハウを持つインテグレーターだ。その1社である三井情報のブースでまず目を引くのが、Airspan Networksの基地局群。注目は、RU(アンテナ部)、DU/CU(制御部)を一体化した「オールインワン型基地局」だ。
Airspanの5G基地局ラインナップ
RU機能のみを持ち、サーバー内のDU/CUソフトウェアと連携して動く基地局も含め、Airspanは複数のラインナップを揃える。オールインワン型基地局のメリットはもちろん、シンプルな構成のローカル5Gシステムを手軽に導入・展開できることだ。
一方、5Gコアネットワークについては、Working Group Two(WGtwo)のSaaS型コア、同じくSaaS型で利用できるシスコシステムズの「Cisco Private 5G」、オンプレミス型のDruid Software製コアを取り扱い、こちらも複数の選択肢を用意している。利用する企業のニーズに合わせて、柔軟な提案が可能だ。
加えて、ローカル5Gの免許申請、機器の動作確認、電波測定、システム構築、導入後の保守まで一貫したサポートも行う。同社はこれらすべてを包括したサービスとして、2022年10月に「MKI ローカル5G Starter Kit」の提供を開始。Airspanの屋内用・屋外用オールインワン型5G基地局と上記の5Gコアを組み合わせて、最小構成のローカル5Gネットワークを短期間に導入可能だ。
ワイヤレスジャパン×WTP 2023の三井情報ブース
JTOWERの共用型ローカル5G実証も支援
こうしたマルチベンダー構成によるローカル5Gネットワークの構築実績の1つが、JTOWER、シスコ、Airspanと共同で行った2022年の実証実験だ。
複数のユーザーでローカル5Gネットワークを共用するための「ローカル5G共用装置」をJTOWERが開発。これとAirspanの5G基地局、シスコの5Gコアネットワークを組み合わせて、“ローカル5G設備のインフラシェアリング”環境を構築した(下写真)。三井情報がその設計・構築を担当した。
JTOWERら4社で行った共同実証
JTOWERのローカル5G共用装置は、いわゆる「DAS(Distributed Antenna System)」と呼ばれるもので、基地局から届く電波信号を変換し、光ケーブルで分配。建物・施設内や地下空間等で効率的に5Gエリアを構築できるようにする。
これに、Airspan製の基地局を接続。さらに、Cisco Private 5Gのコア機能も、複数のローカル5G事業者で管理機能を共用できるかたちで提供することで、ローカル5G設備のインフラシェアリングを実現しようというのが、この実証実験の狙いだ。
ローカル5Gの普及を後押しするため、三井情報はこうした実証のほか、ローカル5Gの性能を体感できる「MKI 5G IDEA LAB.」も開設。同社ブースではこれら数々の取り組みを深く知ることができる。