韓国モバイルビジネス動向ウォッチ[第8回]NFCで始まった金融と通信事業者の覇権争い(前)――すでに戦いは始まっている

モバイル先進国、韓国をウォッチしながら、新しいモバイル関連ビジネスの種を見つけていく本連載。今回からは日本での注目も高まる「NFC」をめぐる覇権争いに迫る。

中国銀聯がmicroSD/NFC採用のインパクト

通信事業者にすれば、SEをSIMカード上に置けば、NFCアプリケーションを完全に管理できる。そのため、携帯電話事業者の業界団体であるGSMAは、SEはSIMカードに内蔵するという「決定」を下している。実はNexus Sと同様、韓国版のGalaxy S2も当初は、本体にNFCチップとSEの両方を内蔵する予定だったが、通信事業者からの要望を受けて、SEはSIMカードに実装する仕様に変更したそうだ。

他方、金融系事業者は通信事業者のコントロールから逃れるため、SIMカード以外へのSEの実装を望む。

すなわち、SEをどこに実装するかがNFCをめぐる覇権争いの1つの焦点となるわけだが、中国唯一の決済ネットワークである中国銀聯は先般、NFCチップとSEの両方を搭載したmicroSDカードを使ったAndroid向けNFCモバイル決済サービスを発表した。超巨大マーケットである中国でこのような決断がなされたインパクトは、もちろん計り知れないほど大きい。次回は、中国銀聯のNFCプロジェクトについて紹介する。

(連載目次はこちら

橋本清治(はしもと・せいじ)

IT業界での30年の経験を生かし、某外資系通信機器ベンダー勤務の傍ら、エムアンドエムリサーチを運営。主に海外の通信事情リサーチやベンダーの日本進出の支援を行う。現在は特に韓国のモバイル通信事情を注視している。表面的な事実の調査だけでなく、必要があれば現地調査も行う行動派リサーチャ。“真実は体で確かめる”が身上。コンタクトはinfo@mmrjp.comまで

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