ジュニパーネットワークスは2010年5月18日、データセンター向けソリューションを発表した。運用管理を簡素化する独自技術「バーチャル・シャーシ」を搭載したスイッチ製品ラインナップを拡大。また、物理/仮想スイッチの管理を自動化する新ソフトウェアの投入などにより、クラウド対応が進むデータセンターネットワークの課題に応える。
2009年10月に、高パフォーマンスと管理の容易性を両立する新コンセプト「NEW NETWORK」を発表したジュニパー。今回発表の新ソリューションは、「データセンター向けのNEW NETWORK」と言うべきもので、自動化、仮想化技術、ファブリック技術などの適用により、最大50%の作業時間短縮、データセンター・ネットワークの機器コストを最大35%削減できるという。
「多層構造」による課題を解決
クラウド対応が進むデータセンターにおける課題解決について、同社は「簡素化」「自動化」「セキュリティ強化」の3点をキーポイントに挙げる。
「簡素化」について、同社は2008年から、現状では3層以上の多層構造となっているデータセンター・ネットワークを2層構造とし、運用管理コストを削減する「2層構造データセンター化」を提唱している。そのコア技術となるのが、複数の物理スイッチを集約化し仮想的なシャーシ型スイッチとして運用可能にする「バーチャル・シャーシ」と呼ぶファブリック技術だ。従来、コア・スイッチ「EX8200シリーズ」やアクセス向けの「EX4200シリーズ」に搭載していたこの機能に対応した製品ラインナップを拡大。2010年第二四半期から順次出荷する予定のアクセス向けの10GbEスイッチ「EX4500」、データセンター向けエッジルーター「MX80 3D」などでも、バーチャルシャーシをサポートする(2011年前半に対応予定)。
アクセス向けの10GbEスイッチ「EX4500」 |
代表取締役社長の細井洋一氏は、「従来の多層ネットワーク構造が、エクスペリエンスと経済性を両立させる上での障壁になっている」と指摘。さらに、スイッチ、ルーター、セキュリティ製品にネットワークOS「Junos」を共通して採用することで、さらなる運用管理の簡素化に貢献できるとした。
代表取締役社長の細井洋一氏 |
また、同社では、将来的にネットワークを1層まで圧縮可能にする「Project Stratus」の開発も進めているという。この一連の取り組みを「3-2-1 データセンター・ネットワーク・アーキテクチャ」と呼び、今後もネットワークの簡素化を進めていくという。
ネットワークの仮想化を実現する「3-2-1 データセンター・ネットワーク・アーキテクチャ」 【クリックして拡大】 |
●ネットワーク管理を自動化
「自動化」については、エンタープライズ ソリューション マーケティング シニアマネジャー アジア太平洋地区の近藤雅樹氏が、「従来のネットワーク管理は、まず“機器ありき”で、それを管理するためにツールとポリシーを決めてきた」とし、「OLD NETWORK」の弊害を指摘。「機器によってツールもバラバラで、各ネットワークの情報資産も共有できない」サイロ化が問題だとした。
エンタープライズ ソリューション マーケティング シニアマネジャー アジア太平洋地区の近藤雅樹氏 |
こうした課題解決に向けては、昨年10月に同社が発表したネットワーク・アプリケーション・プラットフォーム「Junos Space」と、そのうえで動作する管理用ソフトウェアを提供する。物理スイッチとサーバー内の仮想スイッチを統合管理できる「Juniper Virtual Control」、統合イーサネット管理ソフトウェア「Juniper Ethernet Design」、セキュリティー・ポリシーの設定を簡素化する「Juniper Security Design」のほか、サードパーティ製のソフトウェアも順次投入される予定という。
3つ目のポイント「セキュリティ強化」については、多様なセキュリティ機能を搭載でき、スケーラビリティも備えるサービスゲートウェイ「SRXシリーズ」と、ユーザー動作とアプリケーションの見える化を実現する「AppTrack」ソフトウェアなどで実現する。また、多様なモバイル端末からのアクセスを識別し、ポリシーの適用を容易にする統合セキュリティクライアント「Junos pulse」も提供する。
アプリケーションを見える化する「AppTrack」 【クリックして拡大】 |