ソフトバンクは2023年5月10日、2022年度決算に関する説明会を実施した。売上高は5兆9120億円で前年度比3.9%増収、営業利益は1兆602億円と前年度比9.8%の増益だった。純利益は5314億円と前年度比2.8%プラスだった。
ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員兼CEO 宮川潤一氏
セグメント別に見ると、売上高は全セグメントで増収を達成した。一方で、営業利益は「コンシューマ事業」が前年度比27.7%の減益となった。政府による通信料引き下げ政策が大きく響いた。ただ決済アプリ子会社PayPayの再測定益2948億円を計上しており、全体の営業利益を大きく引き上げた形だ。「通信料値下げが厳しい1年ではあったが、そんな逆風の中でも1兆円の営業利益を達成することができた」と、ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏は胸を張った。
営業利益では、コンシューマ事業が大きく減益
「ソフトバンク流」超分散コンピューティング基盤構築へ
説明会では、2023~2025年度までの中期経営計画についての説明もあった。
年々増加するトラフィックや通信インフラの大都市集中に対応するため、「データ処理/電力の地産地消・平準化」を目指すという。分散型AIデータセンターを全国に配置するとのことだが、「これだけでは従来の通信インフラと大きく変わらない。ソフトバンク流のアレンジを加える」と宮川氏。具体的には、「超分散コンピューティング基盤(xIPF)」と呼ばれるインフラを構築するという。「全国に分散されたデータセンターを並列で稼働させることによって、仮想的な1つのデータセンターとして動かすことができる」(宮川氏)。
超分散コンピューティング基盤(xIPF)
xIPFを構築することで、サイロ化されたデータを統合できるようになるという。例えば、ある地域のインフラが災害により機能停止したとしても、他の拠点のインフラでデータ処理を行えるようになるとのことだ。xIPE上にAI機能を搭載したクラウドサービスもあわせて提供するという。宮川氏は、「ビルや工場のスマート化に一役買える」と期待を寄せた。