アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2023年4月20日・21日に、千葉県の幕張メッセで国内最大のイベント「AWS Summit Tokyo」を開催した。「通信業界におけるリファレンスアーキテクチャ」と題したセッションで、AWSジャパン 技術統括本部 ソリューションアーキテクトを務める川﨑一青氏は、AWSが通信業界を支援している領域として次の4つを挙げた。「ネットワークのクラウド化」「オペレーションの簡素化」「成長領域の拡大」「顧客体験の再考」だ。
このうちネットワークのクラウド化とは、5Gコアネットワーク(5GC)をAWS Cloudで運用する、あるいは、通信事業者のデータセンターやエッジサイト(通信局舎等)でRAN(無線アクセスネットワーク)を運用するに当たって、エッジ向けのAWSサービスを活用するといったものだ。
実践例として挙げられたのが、北米のDish Network(以下、Dish)の取り組みである。川﨑氏によれば「クラウドのスピード感で、テレコム市場にイノベーションを起こす」ことがDishの狙いだという。
Dish NetworkのAWS活用例
米国通信市場に新規参入したDishは、5GCおよびRANをAWSのパブリッククラウド上に構築し、2022年に一部の州から5Gサービスを開始した。AWSの各種サービスをAPIで容易に連携させて利用できるメリットを活かして、迅速にネットワークを整備。ネットワーク機能/サービスの開発・展開、運用の自動化を促進できるところに、AWS活用の価値を見出したという。
また、川﨑氏は、ネットワークインフラの運用をAWSに任せることで管理工数を削減できること、5GCやRANを運用するためのリソースを需要に応じて増減できる経済性を、AWSを利用するメリットに挙げた。