無線で「毎秒1.44テラ」、NTTがサブテラヘルツ帯で世界初成功

NTTは2023年3月20日、32GHzにわたる超広帯域幅を利用したOAM(Orbital Angular Momentum:軌道角運動量)多重伝送を実現し、毎秒1.44テラビット(1.44Tbps)の大容量無線伝送に世界で初めて成功したと発表した。135GHzから170GHzの「サブテラヘルツ帯」を用いて実現した。

1.44Tbpsの大容量無線伝送は、超高精細4K動画(40Mbps程度)約35000本を同時伝送できる速度に相当する。また、超低遅延が必要なアプリケーションにおいて、非圧縮4K動画(10Gbps程度)を140本以上同時伝送が可能となる。

本技術の利用用途例(上:無線バックホール/フロントホール、下:無線による臨時回線・非圧縮8K/16K伝送)

本技術の利用用途例(上:無線バックホール/フロントホール、下:無線による臨時回線・非圧縮8K/16K伝送)

サブテラヘルツ+OAM多重伝送で成果

無線通信の容量を増大するためには、空間多重数の増加、伝送帯域幅の拡大、変調多値数の増加の3つの方向性がある。このうち、NTTはサブテラヘルツ帯を用いて伝送帯域幅を拡大するとともに、OAMを持つ電波を用いた新しい原理により、空間多重数を増加させることで無線伝送の大容量化を図っているという。

OAMは電波の性質を表す物理量の1つで、このOAMを持つ電波を複数重ね合わせることで、複数の異なるデータを同時伝送するのがOAM多重伝送技術だ。NTTによれば、ミリ波帯などを用いたOAM多重伝送の研究成果が世界的に報告されており、NTTもミリ波帯などを用いて100Gbps・100m超のOAM多重伝送の実証実験を進めてきた。

OAM多重伝送技術のイメージと大容量無線伝送の動向

OAM多重伝送技術のイメージと大容量無線伝送の動向

今回の実証実験では、Butler Matrixと呼ばれるアナログ回路(以下「Butler回路」)を用いて、複数のOAM波を多重処理することで空間多重数を増加させるアプローチを採用。広帯域かつ低損失で動作するアンテナ一体型Butler回路の開発に成功した。135GHzから170GHzの非常に広い帯域で、8個の異なるOAM波を同時に生成および分離できるように設計されており、8個のデータ信号を多重して伝送することが可能だ。

また、異なる2つの偏波でそれぞれOAM多重伝送を行うことで、互いに干渉することなく2倍の16個のデータ信号を同時に多重して伝送できる。これにより、135.5~151.5GHzと152.5~168.5GHzのサブテラヘルツ帯を用いて合計1.44Tbpsの大容量無線伝送に世界で初めて成功した。

サブテラヘルツ帯で開発されたアンテナ一体型Butler回路と伝送実験の様子

サブテラヘルツ帯で開発されたアンテナ一体型Butler回路と伝送実験の様子

IOWN/6G時代の無線通信技術として展開

今回の成果により、OAM波の多重処理をアナログ回路が担うことで、多重処理のための複雑なデジタル信号処理システムを要することなく、シームレスに無線伝送系と光伝送系を接続できるようになることが期待されるという。

次のステップでは、基地局間の無線バックホール/フロントホールや中継伝送などの利用用途を想定し、100mを超える長距離での実証実験に取り組む。最終的には、IOWN・6G時代の革新的無線通信技術として、VR/AR(仮想現実/拡張現実)や高精細映像伝送、コネクティッドカー、遠隔医療など、将来の多様なサービスの創出および普及を支えていくことが期待されるとしている。

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