日本の少子高齢化問題は周知の事実であるが、それに伴い「介護難民」も年々増加傾向にある。介護難民とは文字通り、介護が必要であるにもかかわらず、介護が受けられない人々のことを指す。介護難民が増えている原因は様々あるが、大きな原因として1つに挙げられるのが、介護人材の不足だ。
三菱総合研究所の統計によると、2025年には現状の介護人材数から約32万人、2040年には約69万人の人材が不足すると見込まれている。介護職員の給与体系見直しなど、厚生労働省は人材確保に向けた取り組みを加速させているが、歯止めがきかない状況だ。そんな中で「人材不足解消の1つのカギは『デジタル化』だ」と、三菱総合研究所 政策・経済センター 主席研究員の藤井倫雅氏は、3月15日に開催したメディア意見交換会で指摘した。
三菱総合研究所 政策・経済センター 主席研究員 藤井倫雅氏
藤井氏によると、デジタル化には3段階あるという。1つ目は、「アナログ・物理データのデジタル化」だ。介護記録の電子化が良い例だろう。2つ目は、「個別の業務・プロセスのデジタル化」だ。高齢者遠隔見守りシステムなどが挙げられる。3つ目は、「全体の業務・プロセスのデジタル化」だ。デジタル化は組織マネジメントにも活かすことができる。例えば、介護AIシステムを通じ、シフトに必要な人員数のシミュレーションや人員配置の最適化を図ることができる。