キャスティングボードを握るのは国と自治体
日米欧で今後、テレワークが定着・拡大するかどうかについては、NRIは「国や地方自治体がテレワーク推進のキャスティングボードを握っている」としている。
「仕事の特性上テレワークができない」という回答者を除くと、すべての国で「緊急時だけでなく平常時でもテレワークをしたい」の回答率が最も高い。日本ではこの数値が25%だが、大都市圏では数値が大きく、東京は36%、神奈川は38%、大阪では34%の就業者がこう回答している。
日米欧諸国の就業者のテレワーク意向
※出典:NRI「2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望」
このように就業者のテレワーク意向は高いが、可否を決めるのはあくまで企業であり、米国ではテレワーク意向が強い就業者と、テレワークにそこまで熱心でない企業とのギャップが大きそうだとNRIは指摘。対して欧州は、政府もテレワークを後押ししており、例えばアイルランドやオランダ等では政府がテレワーク(在宅勤務)を就業者の権利として法制化し始めていて、他の欧州国も遅かれ早かれ追随するとみられているという。
日本については、NRIは大都市圏中心にテレワークが定着すると考えている。欧州同様に、日本も国や地方自治体がテレワークに肯定的であることが理由だ。日本政府はデジタル田園都市構想の一環として、テレワークによる地方創生を推進。地方自治体でも、他地域(特に大都市圏)からのテレワーカーをひきつけるために、温泉やカフェ付きのシェアオフィスを整備するなどしていることを、その例として挙げている。