NTTコノキュー 代表取締役社長 丸山誠治氏
XRビジネスをハード・ソフト、エンタープライズ・コンシューマーの全方位に
――NTTコノキュー社の事業概要を教えてください。
丸山 昨年10月に営業開始をしたばかりの、XRの専業の会社です(参考記事)。XRあるいはメタバースは、今かなりバズワードになっていると思います。我々はこのXRという技術が、世の中のみなさんのコミュニケーションをより豊かにしたり、エンタープライズ向けでは業務の効率化にお役に立つというふうに考えて、NTTドコモから会社としてスピンアウトし、XR事業に専念することにしました。
――事業領域について教えていただけますか。
丸山 大きく分けると3つの事業領域があります。メタバース事業、デジタルツイン事業、そして、デバイス事業という3本立てです。いずれもそのバックにあるのはXRという技術です。
最初の2つは主に、サービスやソフトウェアのレイヤーですが、実際にない世界をXRで実現するとメタバースの事業になり、現実の世界をXRの技術を使って構成するとデジタルツインの事業になるということです。ハードウェアの方は、我々自身がデバイスを設計製造して販売していくための準備をしているところです。
ソフトウェア、ハードウェア全般に言えることですが、お客さまとしてはコンシューマーとエンタープライズの企業の両方を想定をしています。
――具体的にどんなサービスを提供するのでしょうか。
丸山 現在取り組んでいるコンシューマー向けサービスとしては、「XR World」と「XR City」があります。XR Worldは昨年3月に始めたサービスで、スマートフォンでご気軽にメタバースの世界を楽しんでいただける、どちらかというとライト層向けのサービスです。この上で例えばユーミンやAKB48などのイベントなどを実施し、その中でファン同士がコミュニケーションを取るというような使い方をしています。まだまだお客さまの数は途上ですが、これからどんどん増やしていきたいと思っています。
XR CityはARのサービスです。特定の場所に行くとユーザー自身の位置を認識して、 いろいろなキャラクターを出したりクーポンを出したり、あるいは情報を出したりということができます。実際に使われるのは一般のコンシューマーのお客さまですが、お金を払っていただくのはクーポンなどを提供される企業・自治体です。最初のお客さまの1つが埼玉県で、街づくりや観光客の回遊に使っていただいています。エリアを順次増やしていこうと一生懸命取り組んでいます。
ARサービス「XR City」のイメージ画像
それから、いろいろキャラクターのIP(知的財産)を持っている企業とも組んでいます。ジブリやゴジラなど、お客さまに楽しんでもらえるものを広げていこうとしています、
――売上の内訳は。
丸山 目下のところ、エンタープライズ向けソリューションの方が売れており、数として多いのは遠隔作業支援の分野です。昨今の人手不足や新型コロナの影響により、現地作業者、例えば機器保守などの人手が足りていません。特に熟練の方が足りないので、現地の作業者は眼鏡をつけて、バックヤードからその眼鏡で同じ画像を見ながら後ろの人が指示をするというタイプのソリューションが売れています。
ドコモ時代にすでに100例以上、販売した実績があり、国内でおそらく一番多く取り扱っていると認識をしています。機器の保守だけではなく、農業や、歯科医など、医療関係でも使われるようになってきています。
それ以外に、企業内コミュニケーションをメタバースで活性化するツールも企画する など、実は20近くの商材を抱えており、用途や業種ごとに最適化し、それぞれのお客さまのニーズに沿ったソリューションを提供できるように構築をしているところです。