Wi-Fiアライアンスは2011年5月16日、都内で記者会見を開催。来日したマーケティングディレクターのケリー・デイヴィス・フェルナー氏が「Wi-Fi CERTIFIED Hotspot」認定プログラムについて説明を行った。
同プログラムは、ホットスポット(公衆無線LAN)向けの認定プログラムだ。現在、技術仕様の策定作業が進められており、2012年の中頃にリリースされる予定だという。ノートPCや携帯電話、タブレットなどのデバイスだけでなく、アクセスポイントも認定の対象になるとのことだ。
Wi-Fi CERTIFIED Hotspotプログラムの現状と今後のロードマップ |
認定プログラムが目指すのは、ホットスポットの利便性向上である。公衆無線LANサービスの利用には「現状、複雑なステップが必要だが、この認定プログラムがリリースされた暁には、さまざまなことが自動化できるようになる」(フェルナー氏)という。
具体的にはまずネットワークの自動選択が可能になる。ユーザーの意向、オペレーターのポリシー、ネットワーク環境に応じて、デバイス側で最適なネットワークを自動的に選択できる。また、携帯電話のSIMカードなどのIDメカニズムを使った自動認証もサポートする。さらにフェルナー氏は認定プログラムがもたらすメリットとして、新規ユーザーアカウントの作成プロセスの合理化とプロビジョニングプロセスの共通化、最新のセキュリティ方式WPA2によるホットスポットへの接続を挙げた。
Wi-Fi CERTIFIED Hotspotプログラムが実現する主な内容 |
フェルナー氏によれば、Wi-Fi対応デバイスの出荷台数は今年10億台に到達する見込みだ。加えて、特に伸びが著しいのは家電製品と多様性も増している。このようにWi-Fiの普及が一層進むなか、公衆無線LANサービスの利便性を高める認定プログラムの登場は多くのユーザーに歓迎されることになりそうだ。
急増するデータトラフィックへの対策に追われる携帯電話事業者にとっても、Wi-Fi CERTIFIED Hotspotは大きな意味を持つことになる。Wi-Fiへのデータオフロードを促進できるからだ。サービスプロバイダー向けの機能としては前述のオペレーターのポリシーに基づいたネットワーク選択のほか、事業者間ローミングもサポートしている。フェルナー氏はさらにデバイスメーカーにとっても開発コストの削減やサポート電話の低減などにつながるとし、認定プログラムにより「Wi-Fiのエコシステムの中にいるすべての人が利益を得られる」と語った。
Wi-Fi CERTIFIED Hotspotプログラムはエコシステム内のすべてのメンバーに利益をもたらすという |