ローカル5Gの制度化から3年が経過し、2022年11月末時点で免許を取得した企業・団体は126に達した。
この現状について、総務省 電波部移動通信課 課長補佐の平野裕基氏は「一定程度の普及は見られるが、周波数の有効利用の観点からすると、もっと使われて欲しい」と話す。
ローカル5Gのさらなる普及促進に向けて、総務省・情報通信審議会(情通審)の新世代モバイル通信システム委員会 ローカル5G検討作業班では、その手立てとなる運用制度の柔軟化について議論してきた。そして、2022年10月21月に作業班が取りまとめた「委員会報告(案)」(以下報告案)で、目玉として打ち出されたのが「共同利用」(仮称)という新たなコンセプトである。
現行のローカル5Gは、自らの敷地や建物内で利用する「自己土地利用」が原則となっており、基本的にそれぞれの「自己土地」でローカル5G基地局を整備する必要がある
報告案で提起された「共同利用」は、近隣でローカル5Gを使いたいと考えている企業・団体(ユースケースによっては個人も)がグループを作り、1つの基地局を複数の「自己土地」で利用できるようにするもの。ローカル5Gの導入コストを抑え、利用しやすくすることが狙いだ(図表1)。
図表1 基地局の共同利用のイメージ
「共同利用」では、他者の通信を媒介する形になるため、免許主体は、電気通信事業者に限定される。
電気通信事業者が、共同利用に参加する自己土地所有者(賃貸契約を含む利用権利者、以下同)の同意を得て免許を取得し、1つの基地局で複数の自己土地所有者に、ローカル5Gをサービスとして提供することが可能だ。
「共同利用」が導入されれば、工業団地や農地などに基地局を整備して、中小企業や農家にローカル5Gを安価に提供するといったサービスも容易になる。ローカル5Gの導入のハードルは、大きく下がるはずだ。