3社の強みを統合して新市場を創出
スマートカープロジェクトに参加する3社の役割分担は以下の通りである。
KT
車両状態のリアルタイム診断と車両コントロールを行うためのアプリケーション開発とその普及。また、スマートフォンとOBDにより収集した情報の分析/加工を行う車両管理クラウドプラットフォームの構築及び運営。
GSカルテックス
同社のガソリンスタンド・充電所にWi-Fiゾーンを設置。Wi-Fiを通じて車両運行情報やスマートカープロジェクト参加者への特典であるダブルポイントを提供するスキームの構築。
メルリッツ火災保険会社
OBD装置の無償貸与や「自動車曜日特約保険」の開発・提供など。韓国政府はソウル市の交通渋滞緩和のため、曜日によって走行できる自動車を限定する「自動車曜日制」を検討しているが、その実現策として考えられているのが協力者に対する自動車保険料の割引。これが自動車曜日特約保険で、実際に何曜日に走行したかを確認するためにOBD装置を利用する。
また、メルリッツ火災保険会社では、車両の異常の有無をリアルタイムでモニタリングする「診断サービス」、緊急状況が発生した際に迅速な対応が可能な「緊急救難サービス」、運行パターンの分析により経済的な運転の仕方のアドバイスなどを行う「エコドライビングサービス」等も提供する。
スマートカープロジェクトで興味深いのは、単なる社会貢献ではないという点だ。KTは車や保険という新規分野への進出、GSカルテックスは自社のガソリンスタンドへの顧客誘導、メルリッツ火災保険会社は新しい保険商品の開発・販売と、各社ともビジネス面でのメリットを期待している。スマートフォンを活用した新しいビジネス連携の1つとして注目される。
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