――経歴を拝見すると、前職はGPU(Graphics Processing Unit)メーカーのエヌビディア日本代表、それ以前もサン・マイクロシステムズなど、通信・ネットワーク業界以外の名前が並びます。
細井 ネットワーク業界との関わりのほうが実は深いのです。30年も前の大学を卒業したところから話を始める必要がありますが、バイテル・ジャパンというVANサービスを提供する会社に14年間いて、テレックスやFAX、eメールなどのビジネスに関わりました。
当時の顧客には証券会社や船会社などがあったのですが、彼らが情報を売り物として、多くの人に瞬時に届けるために通信サービスを活用し始めた頃のことです。その頃から、ネットワークと通信の重要性を肌で感じていました。
サン・マイクロシステムズに移ったのも、彼らの標榜する「The Network is The Computer」、コンピューターはネットにつながってこそ価値を持つという方向性がきっかけでした。
――なるほど。ネットワーク業界を出発点に、そこからIT業界の経験を積んだということですね。
細井 エヌビディアでは、GPUのパワーに圧倒されたことが貴重な経験になりました。画像処理という1つの目的に特化したチップセットがどれほどの威力を持つのか。これを学んだことが、ジュニパーに来た理由にもつながっているのです。
今や、PCだけでなく、スマートフォンやスマートブックといったモバイル端末にもGPUが搭載されてきています。省電力化と画像処理能力が追求されていくことで、映像はSDからHDになり、さらに今後は3Dの映像データがネットワーク上を駆け巡るようになります。テレビのIP化もこれに拍車をかけるでしょう。
当然、ネットワークにはイノベーションが必要です。
イノベーションが必要なところには当然、ビジネスの価値が生まれます。“ハイパフォーマンスなネットワーク”を実現することが、私がジュニパーに来た目的です。