児童ポルノ対策はISPの責務

「ISPには児童ポルノを止める責務がある」――。スウェーデンの児童ポルノ対策ソリューション専業ベンダー、ネットクリーン社のホアバリCEOはそう訴える。

ハイブリッド方式で安価に

だが、ISPが児童ポルノ対策を導入するうえでは、いくつかの課題がある。まずは児童ポルノ以外のコンテンツへのアクセスをブロックしてしまうオーバーブロッキングの問題だが、これについては英国で起きた有名な事例がある。あるロックバンドの項目に掲載されたアルバムジャケット写真が児童ポルノと見なされ、何時間にもわたりウィキペディアのサイト全体にアクセスできなくなったのだ。間違って違法コンテンツ以外もブロッキングすることは、ユーザーの権利侵害にあたり、ISPとしては慎重に対処せざるを得ない。

コストも重大な課題だ。児童ポルノ対策はISPの収益アップに直接つながるわけではないため、なるべく安価なソリューションが求められる。

日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)は、児童ポルノのブロッキング手法をDNSポイズニング方式、パケットフィルタリング方式、プロキシ方式、ハイブリッドフィルタリング方式の4つに分類している。ネットクリーン社の児童ポルノ対策ソリューション「WhiteBox」は最後のハイブリッドフィルタリング方式に該当する。

White Boxは、児童ポルノへのアクセスかどうかをまずIPアドレスでチェックし、疑わしいものについてはさらにURLのパスを見て判定する2段階方式となっている。IPアドレスによるフィルタリングは投資負担は小さいものの、オーバーブロッキングが起こりやすい。逆にURLベースはオーバーブロッキングの心配は小さいが、すべてのトラフィックを監視するには大規模投資が必要。WhiteBoxは、両者のいいとこ取りをすることで、オーバーブロッキングを防ぐと同時に低コストを実現しているのだ。「ハイブリッドフィルタリング方式を採用した児童ポルノ対策製品は他にはない」(ホアバリ氏)。なお、ブラックリストはインターポール等の第三者機関から提供を受けている。

ホアバリ氏は児童ポルノの拡散をインターネット普及が生んだ“公害”としたうえで、「ISPにはそれを止める責務がある」と訴える。海外ではすでに北欧のテリアソネラやニュージーランド政府などがWhiteBoxを採用し、その責任を果たし始めているとのことだ。日本での販売はマクニカネットワークスが行う。

月刊テレコミュニケーション2011年3月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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