「外出先や自宅からだと、快適にメールが受信できない」「Web会議システムの通信品質が悪い」──。コロナ禍でリモートワークが増えた今、こんな悩みを抱えている企業は多いのではないか。
東京・千代田区に本社を構える読売情報開発もその1社。同社は読売新聞東京本社の完全子会社で、読売新聞の販売促進活動、販売店向けノベルティの開発、各種イベントの企画・開催など多角的な事業を東日本エリアを中心に展開している。
「エリアが広いため、東京本社以外にも基幹業務を行う拠点として5拠点(図表1を参照)を設置。さらに18の営業拠点を置いています」と情報システム部 システム課 係長の三浦敏史氏は語る。
図表1 読売情報開発のSD-WAN活用イメージ
ネットワークが重い アプリケーションが開かない…
複数の拠点を結ぶ同社の社内ネットワークは、閉域網(IP-VPN)で構成。すべての通信は東京本社に設置されているゲートウェイを経由して外部にアクセスする形となっている。「元々、特定の基幹システムに接続するために敷設していた専用線のため、通信量は少なめに設定していました。時が経つにつれPCの使用率が向上。また2017年からMicrosoft 365(以下、MS365)をはじめ、SaaSを使用した業務が増え、さらにコロナ禍に入り、Web会議も増えました。社員から『ネットワークが重い』『Teamsが開かない』『共有フォルダを開くのに時間がかかり過ぎる』という問い合わせが増え、通信負荷対策が待ったなしの状態になりました」(三浦氏)
実は同社では2018年よりSD-WANを導入する構想があったという。「閉域網をインターネットVPNに変えるという案もあったが、レガシーシステムの中にはインターネットを超えられないものがあり、それを改修するには、多大な時間とコストが必要です。そこで利便性が向上し、可用性も高まるSD-WANを選択したのです。東京本社がたとえ停電でシステムダウンしたとしても、ローカルブレイクアウトにより他の拠点からMS365にアクセスできますからね」と情報システム部 部長の市村雅美氏も語った。
左から読売情報開発 情報システム部 部長 市村雅美氏、同 システム課 係長 三浦敏史氏、ミライト・ワン ビジネス推進本部 SE部 第二SE部門 担当部長 柴田輝昭氏
「SD-WANマネージドサービス」は現実的かつ的確なプラン
コロナ禍をむかえ、通信負荷は増え、業務に支障をきたすようになってきたなか、紹介されたソリューションの1つがミライト・ワンの「SD-WANマネージドサービス」だった。複数社からSD-WANの見積もりを取ったが、他はコスト的に合わなかった。ミライト・ワンの提案は、「私たちが抱えている直近の課題を解決できる、現実的で的確なプランでした」と市村氏。最大の決め手が「マネージドサービス」という点。「機器の初期設定やデリバリ、さらには導入後の運用・保守対応などを一括してお任せできるのが大きなポイントでした」と三浦氏は振り返る。
また料金体系も初期費用不要の月額定額制なので、安価に導入できることも魅力だったという。
早速2021年12月、本社隣のビルに入っているメイト部にSD-WANルーターを設置してPoCを実施。1カ月間、社員に使ってもらったところ、「今までより動きが速くなった」という声を聞くことができた。メイト部から伝送されるパケットの約4割を占めていたMS365に関するパケットがローカルブレイクアウトされたので、その分本社を経由するパケット量は少なくなったのだ。この結果から、「メイト部と、基幹業務にアクセスすることが多い2支社、2営業所の計5拠点でSD-WANを導入することを決めました」(三浦氏)。SD-WANの通信回線としてはミライト・ワンが提供する「ミラテク☆光」を選定。これも「コスト的にメリットが得られるため」と三浦氏は語る。