<連載>10年後のネットワークを創る研究者たち(第2回)工学院大学 坂野遼平准教授IoTのトラフィック膨張に挑戦 Pub/Subモデルの新提案

<連載>10年後のネットワークを創る研究者たちの第2回は、IoTネットワークを研究する工学院大学の坂野遼平准教授にお話を伺う。インターネットの将来を考えると大量のIoTデバイスが存在し、そのデータをまた大量のAIが処理するAI遍在社会が見えてきている。しかし、現在のままでは通信や中継する機器などがボトルネックになる可能性が高い。坂野氏は、IoT通信のうち、Publish/Subscribeモデルの通信を効率化し、大規模化に備える研究を行っている。

坂野遼平(ばんの・りょうへい)氏

工学院大学 坂野遼平准教授

いくつかの分野にまたがって研究をしていますが、現在、大きな割合を占めているのがIoTのネットワーク面での研究です。IoTのデータを活用するプログラムがどうやって情報をやりとりするかについての研究になります。

特に“Publish/Subscribeモデル”(以下Pub/Subモデルと略記)に着目しています。

Pub/Subモデルとは、IoT機器などが“パブリッシャー”として情報を“ブローカー”に送り、IoT機器の情報を必要とするアプリケーションなどはサブスクライバーとしてブローカーに登録し、情報を取得するモデルです(図表1)。

図表1 Pub/Subモデルの概要

このモデルでは、お互いが「疎結合」となり、送信側と受信側がお互いを把握する必要がないために、それぞれの実装が簡易になります。たとえば、パブリッシャーは、ブローカーとだけ通信を行いますが、サブスクライバーのアドレスなどを知る必要がありません。また、プロトコルが簡易で疎結合であるため、全体構成の変動に対応しやすいといったメリットがあり、特に今後爆発的に増えていくであろうIoTデバイスと、それらを処理するAIなどの処理機器を考えますと、大きな可能性があると考えています。

もう少し具体的には、大きく2つのアプローチで研究を行っています。1つは、Pub/Subモデルの分散処理です。ブローカーを複数使って処理を分散する方法を考えています。

もう1つは、ネットワーク内処理です。最近では、インターネットを構成するルーターなどのネットワーク機器が高機能になってきて、ネットワーク内での処理を行える「データプレーン・プログラマビリティ」と呼ばれる技術が利用可能になってきました。これを使えば、ネットワーク内で完結するような処理をネットワーク機器に任せてしまうことができます。

これによりブローカーや上位のネットワークの負荷を下げることができる、というのが私の1つの提案です。

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坂野遼平(ばんの・りょうへい)氏

工学院大学 情報学部 情報通信工学科准教授。2012年に北海道大学で修士課程を修了後、NTT 未来ねっと研究所に入社。2018年以降、東京工業大学や科学技術振興機構を経て2022年から現職

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