UTM(統合脅威管理)ベンダーのフォーティネットジャパンは2011年1月27日、2010年の成果と2011年の取り組みについて記者説明会を行った。
米フォーティネット インターナショナルセールス&サポート統括 シニアバイスプレジデント パトリス・ペルシェ氏 | フォーティネットジャパン 代表取締役社長 新免泰幸氏 |
米フォーティネットのシニアバイスプレジデントのパトリス・ペルシェ氏によれば、同社の2010年の売上は前年と比べて33%増加したという。「この伸びはマーケットそのものの成長を上回っており、我々のシェアも増加している」。好調の要因の1つは、ファイアウォールなどのポイントソリューションからUTMへのシフトが着実に進展していることだ。「今年中にUTM市場は、ファイアウォール&VPNを凌駕する。そのため例えばチェック・ポイントもファイアウォールからUTMに軸を移している」と語り、UTMの草分けでありシェアNo.1でもあるフォーティネットの成長は今後も続くという見方を示した。
今年中にファイアウォール/VPNを追い抜くUTM |
さらにペルシェ氏はUTMだけでなく、他のセキュリティ領域にも注力していることを説明した。フォーティネットでは現在UTMのFortiGateシリーズのほかに、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)のFortiWeb、メールセキュリティのFortiMail、データベースセキュリティのFortiDB、端末セキュリティのFortiClientなどを展開。2010年10月には、無線LANアクセスポイントのFortiAPも国内でリリースした。FortiAPは、FortiGateを無線LANコントローラ装置として活用する。「アルバ、メルー、シスコといった無線LAN大手は、セキュリティの観点でどれだけの価値を提供できているのか。我々はより強力なセキュリティを他社の半分のコストで提供できる」とした。
UTM以外にも注力しているフォーティネット |
ネットワークセキュリティの市場規模は全世界で98億ドルだが、メールやWeb、端末、法人向け無線LANなどフォーティネットが着手している市場すべてを足すと、その規模は248億ドルになる。フォーティネットではこれら分野を包括したエンド・トゥ・エンドでのセキュリティソリューションの提供することで、一層の成長を図っていく考え。そのうえでの差別化ポイントは「何といっても、自社内で開発した製品ばかりである」ことだという。
エンド・トゥ・エンドのセキュリティソリューション提供でさらなる成長を狙う |
続いて、フォーティネットジャパン代表取締役社長の新免泰幸氏が日本の状況と戦略について説明した。2010年の売上は前年比30%増と、ワールドワイドとほぼ同等の成長を達成。新免氏が以前から「約束」として掲げてきたハイエンド/ミドルレンジ向けUTMの売上拡大についても、2009年には売上の45%だったハイエンド/ミドルレンジの割合が2010年には57%に大幅増加し、達成できたという。
2009年にはローエンド55%、ミドルレンジ37%、ハイエンド8%だったが、2010年はローエンド43%、ミドルレンジ44%、ハイエンド13%に。UTMというとローエンド向けが中心とのイメージも強いが、ミドルレンジ・ハイエンド向けが大幅に増加しているという |
また、今年開拓していく新マーケットとしては、モバイル、ソーシャル、クラウドの3つを挙げた。モバイルとは昨今のスマートフォンの隆盛のこと。スマートフォンからのVPN接続のほか、スマートフォンなど無線LAN搭載端末の普及により無線LANのニーズも企業で拡大しているという。現在FortiGateはiPhoneのIPsec VPN接続およびSSL VPN接続に対応しているほか、AndroidについてもL2TP/IPsec VPNのベータ中とのことだ。
FortiGateのiPhone/Android向けVPNソリューション |
また、ソーシャルとは、急成長しているソーシャルゲームプロバイダー向けの需要のことだ。ショートパケット性能や低遅延などの高速性が求められているという。さらにクラウドでは、FortiGateのVMwareバージョンも用意していることなどをアピールした。今後もメインは既設ファイアウォール/VPNの刷新となるが、こうした新しく起きている大きなトレンドにもしっかり力を入れていくという。