「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る《3-1》「セクショナリズムの壁」を打破するために生まれたNexti――NTTデータ流ソーシャルテクノロジー

「Twitter」や「SNS」に代表されるソーシャルテクノロジーが、企業でも使われ始めた。厳しい経営環境を乗り切るために、組織へ組み込み、コミュニケーションの活性化に役立てようとする企業も現れている。本連載では、2009年のダボス会議で「持続可能な100社」に選ばれたNTTデータの取り組みを中心に、ソーシャルテクノロジーのメリットから活用のポイントを分かりやすく紹介する。

3.1.6 実現方法ではなく目指す姿を経営層とも共有

また、社員がボトムアップで提案し、新たな全社インフラを構築するというプロセスも初めての試みであり、数々の未検討リスクが想定されました。そこで、着手前からリスクだけを捉えて難色を示され以降の取り組みが頓挫しないよう、課題認識や目指す姿をブレイクダウンした実現方法にチャレンジしたい、と提案しました。

社内SNS導入の狙いは、あくまで「全社員が組織や役割を越えて主体的に協力し合う社風作り」であり、社内SNSは社内コミュニケーションを活性化させるためのひとつの手段であることを強調し、経営層の共感を得ることができました。

その背景には、「職場の雰囲気が重苦しく風通しが悪い」「特に若手層で同僚との関係が薄く、個々人で業務を遂行している意識が強い」といった声が社内で挙がっていたことがあります。そのため、経営層の間でも社内コミュニケーションの活性化に対する強い問題意識が共有されていました。

もちろん、「私的利用との線引きはどう考えるのか」といった質問も出ました。これに対しては、「ネット上の喫煙ルームのような効果を見出すもの」と説明しました。社内システムの私的利用という観点で捉えるとネガティブな印象を持つ役員であっても、喫煙ルームで生まれる雑多なコミュニケーションの有効性について否定する役員はいませんでした。喫煙ルームでのちょっとした会話と同様、業務とは直接関係ない話題であっても息抜き程度であれば、社員間のコミュニケーションがより活性化する効果の方に期待できること、そして完全実名制とすることで自制効果が期待できることを伝え、理解を得ていきました。

(連載目次はこちら

NTTデータ流ソーシャルテクノロジーNTTデータ流 ソーシャルテクノロジー
~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~

■Nexti運営メンバー有志(著)
■新書版 132ページ
■定価:1,050円(税込)(本体:1,000円)
■ISBN:978-4-89797-843-7

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本連載は、2010年1月にリックテレコムから発行されたソリューションIT新書『NTTデータ流ソーシャルテクノロジー ~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~』(著者・Nexti運営メンバー有志)を転載したものです。

鈴木宏史(すずき・こうし)、豊島やよい(とよしま・やよい)

鈴木宏史
株式会社NTTデータ 第一公共システム事業本部
1999年、NTTデータ入社。入社以来、自治体系システムを担当分野として、営業及びシステム開発に従事する。Nextiには2006年2月より参画し、全体企画及びユーザー対応等を担当する。また、幹事長として合宿や忘年会等のイベントを仕切っている。

豊島やよい
株式会社NTTデータ 営業企画部
1998年、NTTデータ通信入社。SEとして官公庁向け電子申請システムの開発等を手がけた後、航空・空港業界の営業・マーケティング、新規ビジネスの立ち上げを経て、現部署に異動。全社営業力強化を目標に、前線の営業担当者向けの営業改革施策立案・運用に携わる。本書内の「新・行動改革WG」に参加。Nexti立ち上げメンバーとして、的場聡弘氏とともに「こころざし」を起草。また「3行の利用規定」の起案やユーザー対応など、技術力を共感力で補う立ち位置で活動している。

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