企業ネットワーク最前線

5G時代を支える光ソリューション(後編)

光伝送は「1波1.2Tbps」時代に来年突入へ

文◎坪田弘樹(編集部) 2022.06.22

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5G時代、ますます重要性が高まる光伝送ソリューション。後編では、光伝送の性能を飛躍的に高め、かつ適用領域を広げる最新の動きを見ていく。

前編「400ZRの普及とオープン化 光伝送の最新トレンドとは?」はこちら

高速・大容量化の観点で注目されるのが、1波長で送れる伝送容量を800Gbps、そして1Tbps超へと拡張する技術開発だ。

シエナは1波長で800Gbp 伝送を可能にするチップセット「WaveLogi c5」を搭載した伝送装置「Waveserver 5」を2020年から販売。DCI等の短・中距離では1波800Gbps、より長距離では1波400/200Gbpsといった複数のユースケースで使い分けることが可能だ。2020年末にNTTコミュニケーションズがDCIへ導入している。

2021年から本格化した400GbEの普及が、この「1波800G伝送」の導入を後押ししそうだ。メトロ/DCIでは、1波長で400GbEを2ch運べる。伝送密度が向上するほか、管理する波長数が減ることで運用負荷の軽減、信頼性の向上にもつながる。

光トランシーバーに関しても800GbE規格の策定が進んでいる。IEEE802.3グループは2025年頃の800GbE標準化を目指しており、MSA等の業界団体は800GbE仕様をすでに公開。2023年頃には普及が始まるとの予測もある。

さらに先を目指す動きもある。「我々はチャレンジャーなので、800Gbpsを飛び越えて、1.2Tbpsを目指す」と話すのは、光伝送メーカーのECI Telecomを買収して2020年に市場参入したリボン・コミュニケーションズでIP Optical Networks部 部長を務める宮下泰彦氏。同社の光伝送装置「Apolloシリーズ」の新しいトランスポンダーとして1.2Tbps伝送が可能なモデルを開発中だ。2023年の第2四半期の提供開始を目指している。

「現在は600Gbpsの波長を2本で、1マイル(1.6km)1.2Tbps相当の容量を持つ機種があるが、それをシングルキャリアで、筐体サイズも半分にできる。距離の長いDCIやメトロで800Gや600G、ロングホールで400Gといったように、1機種を使い回せるソリューションにしていきたい」(宮下氏)

“聖域”もオープン化へ先に述べたディスアグリゲーション、光伝送システムのオープン化もさらに進展する。トランスポンダー以外の部分もオープン化し、光伝送システム(Optical Line System:OLS)全体をマルチベンダー化しようとする取り組みが進んでいる。

OLSのオープン化はOpen ROADM MSAやONF等の団体で進められている。アプローチは大きく2つあり、ONFが定める標準API(Open Transport API:TAPI)でOLSを管理・制御できるようにすることで、異なるベンダーのトランスポンダーとOpen OLSをサードパーティ製の管理システムで運用できるようにするのが1つめ。

もう1つが、OLS内部も分離し、波長フィルター(MUX/DEMUX)や光アンプ、ROA DMの個々の機能ごとに標準APIで制御・管理できるようにする“フルディスアグリゲーテッド”だ。

シエナやリボン、富士通、シスコシステムズなどの光伝送ベンダーもこうした動きに対応し、Open ROADMやONF TAPIのサポートを始めている。既存システムを一気に置き換えるのは難しいものの、徐々にOLSのオープン化が進んでいくだろう。

こうしたオープン化で期待されるのが、やはり新興ベンダーの参入だ。

この3月には、米国のJabil PhotonicsとIP Infusionが、400ZR対応のOpen OLS製品「400G ZR OLS」を商用化した。Jabilが開発したハードウェアに、IP InfusionのOcNOSを搭載した1RUサイズの製品で、図表3のように400ZRモジュールを挿したスイッチ/ルーターと組み合わせて、より長距離の伝送を可能にする。植松氏は、「トランスポンダーだけでなく、いよいよOLSにもオープン化の波が広がり始める」と展望する。400ZR OLSの初号機は波長分割多重と光アンプ機能に留まっているが、Jabilでは2023 年以降、ROADMの対応も検討しているという。

 

図表3 IP InfusionとJabilがOOLSを商用製品化
図表3 IP InfusionとJabilがOOLSを商用製品化


また、IP Infusionの親会社であるACCESSは、「オールフォトニクス・ネットワーク」などを柱とするIOWN構想の実現に向けてNTTと提携。「IOWNの機能を取り込んだOcNOSの開発や、ホワイトボックス伝送装置向けOSの販売を進める」(植松氏)ことで、光伝送ソリューションの進化とさらなる用途開拓を進める。
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