ネットワンシステムズは2021年5月27日、文部科学省が推進するGIGAスクール構想の加速に向けた、福島市立学校48校(小学校29校、中学校19校)のSD-WAN環境を構築したと発表した。本環境は4月から稼働している。
今回整備したSD-WAN環境(以下、本環境)では、各校からインターネットに直接かつ安全に接続する「ローカルブレイクアウトによるダイレクトインターネットアクセス環境」を実現した。これによってインターネットへの通信速度を向上させ、教育用デジタルコンテンツの体感速度の向上を通じて効果的な授業体験を実現しているという。
本環境の概要図
福島市立学校では約2万人の児童・生徒にタブレット端末を配布し、4月からインターネットを活用した新しい授業形式「福島型オンライン授業」を開始している。一方で従来、各校からインターネットに接続する際はセキュリティ強化のためにWAN及びデータセンターを経由しており、新しい授業による通信量の増加によって帯域の逼迫が課題だった。
本環境はCisco SD-WANソリューションで構成されており、授業で発生するインターネット通信を統制することで逼迫を解消、体感速度を向上させた。
授業で多く活用するWebサイト(教育用動画サイト、授業支援ソフト、調べ学習など)の通信は、ローカルブレイクアウト機能によってWAN及びデータセンターを経由することなく、新たに用意したインターネット回線から直接接続する。データセンターを経由する必要があるWebサイトは、従来同様にWAN経由でデータセンターへ接続し、ファイアウォールを介して固定IPアドレスによってインターネットに接続することで安全性および身元を担保している。
また、セキュリティの強化と運用負荷の軽減のため、各校に設置したSD-WANルータには高度なファイアウォール機能を搭載し、各校に専用のファイアウォール製品を用意することなくセキュリティ対策を実装した。各校のSD-WANルータは専用の管理クラウドから一元管理可能で、アプリケーションの帯域制御やセキュリティ設定の変更などを現地に赴くことなく適用できる。
なお、今回のSD-WAN環境の整備ではコスト最適化の観点で、福島市立学校全68校の中で児童・生徒の数が多い48校にSD-WANによるローカルブレイクアウトを適用し、他20校は帯域に余裕が生じたWAN及びデータセンター経由でインターネットを利用する形式としている。