IoT×EVがインドで脱貧困の道作る 遠隔ロックによる「担保化」でローンを組みやすく

テラモーターズはインドで貧困層の課題解決の事業を開始する。IoTとフィンテックを組み合わせ、融資条件を緩和。将来的には広告事業も組み合わせ電動バイクを普及させていく構想だ。

日本よりも圧倒的にやりやすい土壌がある」。インド市場についてテラモーターズ 代表取締役社長の上田晃裕氏はこう述べる。

2010年に創業した電動バイクメーカーのテラモーターズは2020年7月、車両一元管理アプリ「Terra Track」をリリースするとともに、同社がインドで販売する電動三輪バイクへのIoTデバイスの搭載を開始した。モバイルネットワーク経由でIoTデバイスからクラウドへデータが送信され、電動バイクの走行データ、電池データ、位置情報などがアプリで確認できる(図表1)。

図表1 テラモーターズの電動バイクに搭載されたIoTの概要

図表1 テラモーターズの電動バイクに搭載されたIoTの概要 



テラモーターズはインドやバングラデシュなど東アジア中心にグローバルで事業を展開しており、このアプリはインド市場における同社の「電動バイク×フィンテック×IoT」事業の第1歩としてリリースされた。「今のインドの課題を解決する技術とビジネスモデルだと思っている」と上田氏は胸を張る。

EV普及に力を入れるインド市場テラモーターズは従来からインド市場に特に力を入れている。それは同社の主力製品である電動自動車にとって、様々な点でインドが魅力的なマーケットであるからだ。

「インドは地方に行くと、交通インフラが未成熟だ。メトロの開発も進んでいるが、最寄り駅などから目的地までの“ラストワンマイル”の乗り物として、電動3輪が受け入れられやすい」とまず上田氏はその交通事情について話す。具体的には、同社の電動3輪「Y4A」は地方での交通インフラとして、乗り合いタクシーとしての利用が多いという。

インド政府が電動自動車の普及に熱心なのも理由の1つだ。インドでは貿易赤字が大問題となっている。インド商工省の発表によると2019年度の貿易赤字額は1529億ドル。中でも最大の輸入品目が原油・石油製品である。そこでインドでは近年、脱・石油政策の一環として、電動自動車の普及を推進している。具体的には、2025年までに150cc以下のすべての2輪車をガソリン駆動から電動駆動に、また2030年までには新車販売に占める電動車の割合を、全体の3割まで引き上げることを目標に掲げている。「昨年も、電動自動車用の電気の消費税が5%なのに対して、ガソリンは28%に引き上げられた。ドラスティックな施策が打たれており、ポテンシャルが高い」(上田氏)。

こうした背景から電動3輪の市場全体、そしてテラモーターズの販売台数も拡大し続けているという。

月刊テレコミュニケーション2020年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。