IoTバジル栽培で農業団地を再生 持続可能な産業・雇用を作る

八幡平スマートファームは、バジル栽培にIoTを活用し、日本一の生産量を目指している。経営が難しい農業を、IoTで持続可能な仕事にアップデートすることで、新たな雇用と産業が生まれ、地域課題が解決されている。

岩手県八幡平市に本社を構える八幡平スマートファームは、IoTを活用してバジルの水耕栽培を自動化した「スマート農業」を行っている。IoTで農業を効率化する取り組みは全国各地にあるが、同社は効率化に留まらず、地域に雇用と新しい産業を創出し、長年の地域課題を解決している。

図表 八幡平スマートファームの取り組みのイメージ

農業団地をIoTで復活農業団地をIoTで復活八幡平スマートファームは、MOVIMASと岩手県八幡平市の包括連携協定締結により2019年1月に設立されたが、スマート農業の取り組み自体は2017年から始まった。

きっかけは、農業分野でIoT事業を展開したいMOVIMASと、農業団地を復活させたい八幡平市の思いが合致したことだった。

「MOVIMASはモバイル技術を活かして社会インフラを豊かにすることを目標に掲げる会社。中でも、農業分野への事業展開と貢献を考えていた。しかし我々は制御システムの企画開発はできるが、実際に農業をするとなるとビニールハウスの建設、土地、利用権など様々な課題が出てきた」。同社の代表取締役であり、八幡平スマートファームの代表取締役社長も務める兒玉則浩氏はこう振り返る。

八幡平スマートファーム 代表取締役社長 兒玉則浩氏
八幡平スマートファーム 代表取締役社長 兒玉則浩氏



一方、八幡平市では農業団地の再建を課題としていた。高石野施設野菜生産組合の所有する農業団地は、1984年からビニールハウスで花卉などを栽培していたが、近年は後継者がおらず、2haの土地にあるビニールハウス50棟が未活用の状態だった。

「未活用のハウスが立ち並ぶ風景は景観が悪い。農業団地があるのは『レインボーライン』と呼ばれる観光客なら誰もが通る場所。ここを何とかしたいという思いが八幡平市にはあった」(同氏)

団地を再生させるため、これまでにも何度か野菜を栽培して販売する実証実験が行われてきたが、いずれも生産性が低く、売り上げも少額で、継続した取り組みにはならなかった。そもそも産業として維持できる新たな農業の仕組みが必要だった。

月刊テレコミュニケーション2020年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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