企業ネットワーク最前線

マルウェア検知の取引市場 クラウドソーシングでアンチウィルスに変革

文◎太田智晴(編集部) 2019.06.13

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

マルウェアの侵入を100%防ぐことはできない。そのため、侵入を前提にした対策が重要――。

現代のセキュリティ対策では“常識”となった考え方だが、もちろん入口対策の重要性が低下したわけではない。いかにマルウェアの検知率を向上させていくかは、引き続き大切なテーマだ。では、どうすればいいのか。

ユニークなアプローチでブレークスルーを図ろうとしているスタートアップ企業がある。米海軍のリサーチファームや米国家安全保障局(NSA)の出身者などが2017年に設立した米PolySwarm社だ。

同社が取り組むのは、マルウェア検知のクラウドソーシング――。誰でも参加可能なマーケットプレイスを介して、様々なアンチウィルス(AV)ベンダーや在野のセキュリティエキスパートなどの知見を取引可能にし、検知率の向上を実現しようとしている。

正解者には「報酬」ある調査によれば、新しい脅威は毎分400も見つかっている。しかし、「既存のAV製品の新しい脅威に対する有効率の平均は53~74%にとどまっている」とPolySwarm カントリーマネージャーの山本哲也氏は指摘する。

日々大量に作られる新しいマルウェアを検知するため、AVベンダーは努力し続けているが、そのためのリソースには当然ながら限りがある。しかも、各AVベンダーがバラバラに分析を行っているため、その限られたリソースの多くは、同じマルウェアの解析に重複して注がれている。これが、既存のAV製品の検知率が上がらない1つの要因だ。

そこでPolySwarmは、クラウドソーシングの仕組みを提供することにした。AVベンダーやマネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)などが、マルウェアと疑われるファイルを提出すると、マーケットプレイスに参加するAVベンダーやセキュリティエキスパートなどが判定して結果を返してくれる。“集合知”によって、マルウェアの検知率を高めようというわけだ。

マルウェアの解析・判定は、それぞれの参加者が開発したスキャンエンジンとPolySwarmのマイクロエンジンの組み合わせによりリアルタイムに行われ、解析者には仮想通貨で報酬が支払われる。APIを活用し、条件に合ったファイルをマーケットプレイスに自動で投げることも可能だ。

 

図表 PolySwarmのマルウェア検出マーケットの仕組み
図表 PolySwarmのマルウェア検出マーケットの仕組み


このように様々なAVエンジンを使ってマルウェアを判定できるサービスとしては、グーグルの子会社が提供する「VirusTotal」もあるが、PolySwarmの大きな特徴は、第三者による確認・評価が行われる点だという。「その判定は本当に正しかったのか。第三者が後で検証を行い、正解者にしか報酬を支払わない」(山本氏)。利用者は、評価の高いマイクロエンジンにのみ解析を依頼することも可能だ。第三者による評価は、ブロックチェーン技術で記録されるため、改ざんはほぼ不可能だという。

PolySwarmのサービスが始まったのは2019年になってのことだが、すでにマーケットプレイスには数十社が参加。ある大手AVベンダーも参加に向けて検証を進めているそうだ。「例えば、自社が不得意な領域は、PolySwarmで検知いただく。互いに不得意な領域を補い合うことで、検知率を高められる」(山本氏)。日本では、特にMSSPをターゲットに提案活動を行っていくという。

スペシャルトピックスPR

microfocus2009
hitec2009
empirix2009

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】CPS/デジタルツインと
        エッジコンピューティング

●融合する現実世界と仮想空間 ●IOWNでヒトもデジタル化 ●CPSが製造業の切り札に ●エッジAIの実装入門 ●ドコモとNTT東に聞く“キャリアのエッジ”

[インタビュー]情報セキュリティ大学院大学 後藤厚宏学長「サイバー大災害はあり得る セキュリティの自給構造を」 [ソリューション特集]IDaaSのメリットと使い方 【IoT×SDGs】IoTを活用した環境移送技術で、サンゴを絶滅から守る 【技術&トレンド】AIがRANを進化させる日 ほか

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

NVIDIA EGXエッジAIの最適解はGPUにあった!

NVIDIA EGXでエッジコンピューティングの課題を解決し、「スマートエブリシング革命」の実現を!

IDaaSクラウド時代の新常識! 今こそIDaaSを導入すべき3つの理由

クラウドを活用するなら、ID/アクセス管理もクラウドに!

ローデ・シュワルツローカル5Gの測定ニーズの
全てに応えるローデ・シュワルツ

設備構築時の干渉調査・エリア確認、運用開始後の管理までカバー!

MOVEit「パスワード付き圧縮ファイル」
にはもう頼らない!

多様なニーズに対応したファイル転送の姿とは?

Gigamonコロナ禍による通信量の増大に対応

モニタリング、セキュリティ装置の負荷軽減や運用効率化を実現するGigamon社の先進的なL1スイッチ!

ネットスカウトシステムズNWを堅牢にしながらDDoS対策も
ニューノーマルのセキュリティ対策

テレワークのセキュリティと可用性を同時に高める方法があった!

マイクロフォーカス通信キャリアの運用監視をDX

HPEのソフトウェア部門を統合したマイクロフォーカスに、通信キャリアの課題と解決策を聞いた。

tcs-8500遠隔診療がWeb会議でいいはずない!
ノイズなし4K映像伝送を低価格で

医療現場で求められる高画質・低遅延を1台で実現する「TCS-8500」

エンピレックス通信事業者にワンランク上の可視性を

5G時代、キャリアは運用の一層の効率化を迫られるが、クラウドネイティブならトータルコストも削減できる!

KDDIどうする? テレワーク移行時の意外な盲点「固定電話」の取り次ぎ

「固定電話の番のためだけに出社」から脱却するには、何が必要だろうか。

Tocaro仕事を終わらせるビジネスチャット

CTCのビジネスチャット「Tocaro」は、豊富な機能により、プロセス管理や生産性向上も実現できる。

Cisco Meraki Z3全社員が在宅勤務可能な環境をCisco Meraki Z3でシンプルに即実現

<導入事例>検証から実導入までを驚くほどのスピードで!

キーサイト・テクノロジー光集積デバイスに必要なスピーディ
かつ高確度の測定を実現

1Tbpsの次世代光の確立へ、光集積デバイスに最適な光測定製品!

マイクロフォーカス岐路に立つ通信事業者の運用管理
属人・サイロ化から脱却するには?

通信事業者の運用管理に、マイクロフォーカスが"特効薬"を提供する!

シスコシステムズいま知るべき5Gのセキュリティ脅威
大変革時代を「シスコはこう守る」

5G網は様々なサイバーリスクを内包する。シスコはどう対抗するのか。

ホワイトペーパー

アクセスランキング

tc_banner191122

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます