法人向けWi-Fiソリューション「UniFi」等を展開するUbiquiti Networksは、高性能でありながら、GUI操作によってほぼすべての制御・管理機能が使える簡便さが売りだ。また、一般的な法人向けネットワーク機器では管理用ソフトウェアやサポート等を継続利用する場合にライセンス費が必要だが、Ubiquiti製品ではそれも不要。こうした点がユーザーの支持を集め、北米等でシェアを拡大している。
「UniFi」の製品群。Wi-Fi APのほか、セキュリティゲートウェイ(下)等も揃える
日本のユーザーにはまだ馴染みの薄いUbiquiti製品だが、2018年から販売代理店として国内販売を開始したソネットがワイヤレスジャパン2019に出展し、その製品群を展示した。Wi-Fiアクセスポイント(Wi-Fi AP)のほか有線LANスイッチ/ルーター、ネットワークカメラ、さらに光ファイバーで構内LANを作るGPONと企業向けのネットワーク製品の数々を紹介した。
各種のネットワークカメラもラインナップ
また、夏頃に国内で発売予定のコンシューマ向けメッシュWi-Fi「AMPLIFI」も初披露した。複数のWi-Fi APを無線で相互接続してメッシュ型ネットワークを構成するものだ。インターネット回線に接続するのは1台の“親機”のみでよく、子機を置いていくだけで簡単にWi-Fiエリアを拡張できる。例えば、1Fのリビングに親機、2Fの寝室・書斎に1台ずつWi-Fi APを置き、家中に隈なく電波を届けるといった使い方だ。
こうしたメッシュWi-Fiは数年前から北米で流行し始め、最近、日本国内でも販売が始まった。AMPLIFIも3年前に北米で発売。現在、日本の技適取得を進めているところで2019年夏頃には発売できる予定という。
ホーム向けメッシュWi-Fiの「AMPLIFI」。右がハイスペック版の「AMPLIFI HD」で、
中央の丸い部分がタッチ式のディスプレイとなっている。通信速度等を表示可能だ。
中央はロースペック版の親機で、これらに子機(左)が無線で接続する
ユニークなのは、親機となるWi-Fiルーターにディスプレイが備わっていること。ここで現在の通信速度など様々な情報が確認できる。また、スマートフォン等のデバイスが接続すると音で知らせてくれたりと、わかりやすいインターフェースを備えた製品に仕上がっている。
詳細な情報は、モバイルアプリから確認することが可能で、接続しているデバイスの状況やトラフィック等をわかりやすく表示する。アプリケーションごとの制御も簡単に行なえ、例えば、夜の9時以降は、Youtubeを遮断するといった使い方も可能だ。
AMPLIFIの管理用アプリ。国内販売時には日本語化する予定だ
なお、親機となるWi-Fi ルーターは2種類あり、低価格版の「AMPLIFI INSTANT」は2×2 MIMO、ハイスペックな「AMPLIFI HD」は3×3 MIMOをサポートしている。
1台のAPで最大1500クライアントを収容
法人向けの新製品も登場した。高密度環境向けの「UniFi BaseStation XG」だ。これも2019年の夏頃に国内で発売する予定という。
UniFi BaseStation XG
複数端末と同時接続することで、多数の端末と安定的に高速通信を行う技術であるMU-MIMOを用いて、カタログスペック上は最大1500クライアントを収容可能だ。説明員によれば、「実際に用いる場合は500台程度」と控えめに話すが、それでもこのキャパシティは、多くの人が集まるイベント会場やスタジアム等で効果を発揮するはずだ。
スタジアムにおける「UniFi BaseStation XG」の使用イメージ。
従来は右下のように客席の下部に多数のAPを設置していたが、左側のようにXGからビーム状に電波を放出することで
通信品質が改善したうえ、より少ない台数で効率的にスタジアム内をカバーできるようになった
北米では、NBAの試合が行われるスタジアム「FedExForum」(1万8000人収容)でこのUniFi BaseStation XGが使われている。上写真はそのイメージ画像で、スタジアム中央の上部に取り付けたUniFi BaseStation XGからビーム状に観客席へ電波を届けている。
高密度なWi-Fiが求められるシーンは今後ますます増えるはず。国内でも需要が高まりそうだ。