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セルラーLPWAが本格開始!――ドコモ、KDDI、ソフトバンクのIoT無線戦略

文◎村上麻里子(編集部) 2018.12.20

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NTTドコモがLTE-Mを開始したことで、国内大手モバイルキャリアのセルラーLPWAサービスが出揃った。3社は、IoTプラットフォームやクラウドも提供し、IoTビジネスを開拓する。

 
NTTドコモは10月1日、IoT向けLTE規格「LTE-M」の提供を開始した。

今年1月のKDDIに続き、4月にはソフトバンクもLTE-Mをスタートしている。今回ドコモがサービスを始めたことで、通信キャリア3社の足並みが揃った。

LTE-Mは、低消費電力・広域カバレッジを特徴とするLPWAの規格の1つ。3GPPが「LTE版LPWA」として規格化したもので、もう1つの仕様であるNB-IoTと合わせて「セルラーIoT」「セルラーLPWA」と呼ばれる(図表1)。

 

図表1 セルラーLPWAの概要
図表1 セルラーLPWAの概要


KDDIとソフトバンクはすでにエリアの全国展開を完了した。ドコモは東京都、大阪府、千葉県の一部エリアから開始し、2019年3月末にLTEと同等のエリアとなる計画。エリアの展開しやすさが、SigfoxやLoRaなど「非セルラーIoT」との大きな差別化となっている。

LTE-Mの最大通信速度は上り1Mbps/下り0.8Mbpsで、ハンドオーバー機能にも対応するため、人やクルマ、モノのトラッキングや位置検索などの用途に適している。また、ファームウェアを無線によって配布・更新するFOTA(Firmware On-The-Air)機能も備える。

「開始以来、非常に多くのお客様から問い合わせがあり、関心の高さを実感している」。こう話すのは、KDDI ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏だ。

LTEではコストが見合わず、これまでIoT化が難しかったガスや水道の検針、ボンベやドラム缶など危険物を搬送する際の監視、子供や高齢者の見守りなど、幅広い用途で検討が進んでいる。東洋計器とのガススマートメーターの共同開発や、日立システムズとのマンホール遠隔監視の実用化に向けた取り組みなど、大型の事例もすでに生まれているという。

KDDI ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長 原田圭悟氏
KDDI ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長 原田圭悟氏


LTE-Mは低消費電力に特化最後発のドコモは、LTE-Mに「半二重通信方式」を採用している。

データの送受信を同時に行わず、時間を区切って片方向から交互に送信し合うというもので、最大通信速度は上り375kbps/下り300kbpsと他の2社と比べて低速になっている。

同方式を採用した理由について、ドコモ IoTビジネス部 ビジネス企画事業企画担当課長の池田寧志氏は「上りと下りを判別するフィルタリングが不要で、通信モジュールも含めて機能がシンプルになり、低価格化・省電力化が期待できるため」と説明する。

NTTドコモ IoTビジネス部 ビジネス企画事業 企画担当課長 池田寧志氏
NTTドコモ IoTビジネス部 ビジネス企画事業 企画担当課長 池田寧志氏



ドコモはIoT向けに、上り50Mbps/下り150MbpsのCat.4や、上り5Mbps/下り10MbpsのCat.1のLTEサービスも提供している(図表2)。

 

図表2 NTTドコモのIoTネットワークのラインナップ
図表2 NTTドコモのI図表2 NTTドコモのIoTネットワークのラインナップoTネットワークのラインナップ


このうちCat.1は、もともとIoT向けの規格ではなく、省電力性が課題となる。そこで、サーバーから送られる各種信号の受信とIoT機器のスリープを繰り返して省電力を図る「DRX」を発展させ、スリープ時間を長くすることで消費電力を約5分の1に低減する「eDRX」を使い、低消費電力を実現してきた。LTE-Mはデータの送受信に利用する帯域幅が最大1.4MHzと、Cat.1の20MHzと比べて大幅に狭くなっており、通信モジュールの省電力化を可能にする。

ドコモでは複数のセルラーIoT規格について、それぞれの“守備範囲”を明確に分類し提供している。LTE-Mについては、低消費電力にフォーカスした用途を想定し、IoT家電や通信機能付き宅配ボックスなどの実証実験を行っているところだ。「通信速度は1Mbpsにこだわる必要はない」(池田氏)と考えている。破格の料金プランで注目集める

ソフトバンクは、LTE-Mと併せてNB-IoTも4月から提供している。

NB-IoTは最大通信速度が上り63kbps/下り27kbpsとLTE-Mよりさらに低速で、ハンドオーバーやFOTAといった機能には対応していない。

同社は、LTE-MとNB-IoT向けに「IoT料金プラン」を新設したが、1カ月間のデータ量が10KBまでの低容量ユーザーを対象とした「プランA」は月額10円(IoTプラットフォームの利用料金として月額1万円が別途必要)となっている。Sigfoxの年額100円(100万回線以上で、1日の通信回数が2回以下の場合)にも引けをとらない、破格の料金体系だ。

「我々は携帯電話では国内第3位だが、セルラーIoTでは先行してマーケットの関心を集めようと考えた」とソフトバンク IoT事業推進本部 IoT技術統括部 IoT技術企画部 部長の朝倉淳子は語る。

この言葉通り、国内初のNB-IoTサービスと月額10円~という料金プランは開始直後から大きな反響を集め、業界を問わず様々な引き合いが来ている。

ソフトバンク IoT事業推進本部 IoT技術統括部 IoT技術企画部部長 朝倉淳子氏
ソフトバンク IoT事業推進本部 IoT技術統括部 IoT技術企画部部長 朝倉淳子氏



企業だけではなく、各地で自然災害による大規模被害が相次いでいるのを受け、河川の氾濫や地滑りなどの遠隔監視やトンネルのひび割れ検知など、インフラ監視での活用を検討する自治体が多い。空調管理や清掃管理、トイレの空室管理など、建設中のビル全体をIoT化する案件も目立つという。

ソフトバンクでは、1回あたりのデータ通信量や頻度が極めて少なかったり、あるいは何か問題のあったときだけ通信を行うといった用途にはNB-IoT、クルマなど移動するものやソフトウェア更新が必要なもの、NB-IoTではデータ通信量や頻度が多い場合にはLTE-Mというように、使い分けていく方針だ。
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