企業ネットワーク最前線

IoT/AI ビジネスカンファレンス 事前特集

「見える化」のさらに先へ――SASが提案するIoT時代のデータ駆動型企業とは

文◎高橋睦美(ライター) 2018.10.10

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SAS Institute Japan
高田俊介氏

IoT時代の到来を踏まえ、現場から何がしかのデータを収集して解析しなくてはならない――。そんな漠然とした問題意識を抱く企業は多い。自社ならではの課題を解決するには、データを利活用する人材やスキルセットの育成と、組織の整備が重要だ。

それ、何のための「見える化」ですか?IT技術を生かして新たなビジネスを生み出すデジタルトランスフォーメーションの成功には、データ活用が欠かせない。その観点から、ビッグデータ解析やAI/機械学習(ML)といったキーワードが注目を集めるようになって久しい。

もちろんこれまでも、データベースなどの形で顧客に関するデータを収集し、営業活動に生かしてきた企業は少なくないはずだ。だが、Internet of Things(IoT)の登場によってその形はさらに深化し、生産ラインを構成する機器や部品、組み上げられた製品や物流で運ばれるパレットなどの状態までもがセンサーとネットワークを介して収集できるようになった。そこから得られたデータを解析すれば、何らかのプラスの効果が得られるのではないかーーそんな期待から、先行してきた金融や製薬業界のみならず、幅広く製造業でもデータ活用の流れが加速している。だが、期待と現実の間にはいくつか壁があるようだ。

確かに、現場からさまざまなデータを収集し、現状の「見える化」に取り組む企業は増えている。だが、ちょっと待ってほしい。そのデータは何のために集めているのだろうか。これまでの傾向を統計化し、見える化するのはいいが、それによって、自社の何を変えていこうとしているのだろうか。

SAS Institute Japan(SAS)でソリューション統轄本部 プラットフォームソリューション統括部 IoT&Advanced Analyticsグループ マネージャーを務める高田俊介氏は、「目的をはっきりさせないままデータを収集していても、一部の見える化にしかつながらず、効果的な活用や全体最適化にはなかなかつながらない」と警鐘を鳴らす。

自社にデータアナリティクスの文化を醸成する手助けをSASではデータの見える化それ自体を目的にするのではなく、生産性向上などの具体的な目標を達成する「手段」として生かす手助けを行ってきた。

さまざまな顧客の相談を受けてきた中で高田氏が多く耳にしたケースは、漠然と「データを生かして何かやらなければいけない」と意識しているものの、何をすればいいか、何から手をつければいいのかが自分たちだけでは分からない、という声だ。SASはそんな企業に対し、データ解析に必要なツールだけでなく、それを生かすスキルの育成も支援することで、データドリブンな企業への移行を支援してきた。

そもそも、業務課題は企業によってそれぞれ異なるため、「これ」という何か1つの正解があるわけではない。そこで、自社の課題に沿ってどんなデータを収集するかを設計し、得られたデータを元に指針を導き出すスキルを備えたデータサイエンティストの出番となるが、残念ながら市場にそうしたスキルセットを備えた人材が潤沢にいるわけではなく、雇い入れるには相応の待遇が必要だ。また、採用したデータサイエンティストが、すんなり自社の業務や価値を把握し、必要な成果を出せるかと言うとこれまた未知数だ。自社が求めるものとの間にずれがあり、互いに不幸な状況に陥ってしまうケースもある。

ならば、今手元にあるデータで何かできないかと分析に取り組んでみても、「よほどデータベースがしっかりしていれば別だが、汚かったり、スカスカだったりと、今あるデータでそのままきれいに分析できるということはまずない」(高田氏)。例えば名前1つとっても表記がバラバラで、名寄せやクレンジングといった処理が必要になるが、社内にそれができる人材がいないケースが大半だ。

「無尽蔵に予算があれば話は別だが、データ解析を誰かに投げっぱなしにするのはナンセンスだ。自社の事業や業務内容は自分たちが一番よく知っている。従って、自分たちで分析ができれば一番コストが安く、高い効果を得ることができる」(高田氏) 

そこでSASでは、こうした地道な作業の部分も含め、長年にわたって提供してきた分析ツール群とともに、それを活用する方法を伝えるコンサルティングサービスを提供することで、会社としてデータサイエンティストを育成し、ひいては自社内に「アナリティクス文化」を醸成する手助けを行ってきた。

「ツールに加えてその使い方を伝えることで、分析を一過性のものに終わらせず継続的に活用できる。つまり、アナリティクスライフサイクルという継続的にメリットを生み出す仕組みを提示し、それをベースに結果を出しながら会社組織をともに強くしていく」(高田氏)

最近では、統計など高度な知識やスキルまでは要しないものの、ツールを使いこなして業務に必要な分析を行う「シチズン・データサイエンティスト」(市民データサイエンティスト)という存在に注目が集まりつつある。SASは、より高度な分析サービスそのものはもちろんのこと、分析人材育成・自立支援を促進するための教育プログラムも提供している。セルフサービスで手元でデータ分析を動かしつつ、高度な解析が必要な場合には専門的なコンサルティングサービスの手を借りることで、自社の次のプロセスにつながるデータ解析が可能になるだろう。

小さく始め、結果を踏まえて活用範囲の拡大をそれでもまだ経営層の中には、果たしてデータ分析から何らかの結果が得られるのか疑心暗鬼という場合もあるだろう。SASではRaaS(Result as a Service)を用意しており、まず小さなところで仮説立案からデータ収集・解析、それに基づくフィードバックを試し、結果を見極めた上で全社に広げていくことができる。

事実、単なる見える化から一歩踏み出し、大いに効果を上げた企業もある。例えばある複写機メーカーでは、客先の機器の稼動状況をリアルタイムに把握することで、「そろそろメンテナンスが必要な時期だ」といった事柄を判断。実際に故障が発生する前に先んじて交換を行うことでクレームを減らして顧客満足度の向上につなげるとともに、製品寿命も余すことなく活用するという成果を挙げた。IoTに新たなデータ分析手法を取り入れ、新しい価値を生み出した成功例と言えるだろう。

もう1つ、製造業をはじめとする日本の多くの企業が直面する深刻な課題が「人手不足」だ。これまで現場で培われ、人から人へと伝承されてきたさまざまな知見や技術を途絶えさせずにいかに活用するかという観点から、人工知能(AI)を活用したいという期待が高まっている。既に手元にあるデータをどうやってAIに持っていくかという課題に対しても、SASはともに取り組んでいくという。

誰もがデータサイエンティストの資質を持って、データに向き合う時代が来ようとしている。約40年に渡ってデータアナリティクス領域に携わり、多くの知見を蓄積してきたSAS。「IoT/AIビジネスカンファレンス」では、そんな企業を支援するヒントが、先の事例とともに紹介される予定だ。

 

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