企業ネットワーク最前線

トヨタが考える「エッジコンピューティング×つながるクルマ」の具体策

文◎太田智晴(編集部) 2018.08.06

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

トヨタIT開発センター 大西亮吉氏

「モビリティ体験の進化のためには、自動車ビッグデータが非常に大事。ただ課題はキャパシティと拡張性だ」。そこでトヨタが解決策として注力するのがエッジコンピューティングである。トヨタIT開発センターの大西亮吉氏が、自動車ビッグデータ向けエッジコンピューティングについて講演した。

 
OpenStackの重要なユースケースの1つとして急浮上しているエッジコンピューティング。OpenStack Foundationは今年、エッジコンピューティングに関するホワイトペーパーをまとめ、さらに「Airship」と「StarlingX」という2つのエッジコンピューティング関連プロジェクトもスタートした。

こうした動きを反映し、8月2日・3日に都内で開催されたイベント「OpenStack Days Tokyo 2018」でも、エッジコンピューティングがメイントピックの1つとなった。

初日の基調講演では、トヨタIT開発センター システムアーキテクチャ研究部 ネットワークグループ グループリーダー / プリンシパル・アーキテクトの大西亮吉氏が「Automotive Edge Computing - ユースケースと要件」と題して、コネクテッドカー向けのエッジコンピューティングについて語っている。


「つながるクルマのデータ量は10億GB。これはヤバいぞ」大西氏によれば、コネクテッドカーのサービスは大きく3つに分類できる。クルマの走る・止まる・曲がるに直接関わる「ITS」、ナビゲーションやエンターテイメントなどの「テレマティクス」、クルマから集めた情報を分析して活用する「ビッグデータ」の3つである。

コネクテッドカーのサービスは3つに分類できる
コネクテッドカーのサービスは3つに分類できる


今回の講演でテーマとなったのは、「ビッグデータ」だ。トヨタは、クルマから集めたビッグデータを活用して運転支援を行ったり、API経由でカーシェアリングや保険などのサービスに提供したり、クルマの品質管理に利用するなどのビジョンを描いている。

ただ、こうしたビジョンを実現するうえでは、「システムのキャパシティや拡張性が大きな問題になる」という。そこで、解決策として取り組むのがエッジコンピューティングだ。

自動車ビッグデータの主なユースケース
自動車ビッグデータの主なユースケース


コネクテッドカーは、どれくらいのビッグデータを生み出し、システム側にはどれくらいのキャパシティが求められるのか。


大西氏は、「2025年頃、つながるクルマの台数は、全世界で1億台になると予想されている。これらのコネクテッドカーがクラウドに送ってくるデータ量は1~10EB/月。1EBは10億GBだ」と説明。さらに、もっと地に足を付けて考えられるよう、日本国内で300万台のコネクテッドカーのビッグデータを処理すると仮定して、議論を深めていった。

「1台のコネクテッドカーが月に10GBをクラウドに上げると、入ってくるデータの量だけで30PB/月。仮に、書き込み速度が10GB/秒だとすると、単純に記録するだけでも1カ月以上かかることになり、ディープラーニングはおろか、データマイニングもできない。『これはヤバいぞ』ということ」

自動車ビッグデータの活用に向けて想定される課題
自動車ビッグデータの活用に向けて想定される課題



拡張性も大きな課題となる。

「データセンターのワンフロアくらいから始めて、だんだんと建物全体を占領し始め、さらには外に出ていくことになるかと思うが、用地取得や電源容量、通信容量などの拡張性の面を考えると、やはり非常に難しい」

これほどのビッグデータの“塊”は分散処理、すなわちエッジコンピューティングを活用しないと捌ききれないという。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

synology1907
cloudian1907
nec1907

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】5G時代のエッジ革命
 <Part1> 楽天の5G×MEC革命  <Part2> スマートシティとエッジコンピューティング <Part3> エッジコンピューティングでクルマはどう進化する? <Part4> ローカル5Gと相乗効果も  製造業で進むエッジ活用 <Part5> 五感をエッジデータ化  ヒト視点のエッジコンピューティング <Part6> エッジ運用の課題と対策  <コラム> 5GでエッジAIはさらに進化する

●[インタビュー] サイバーディフェンス研究所 名和利男氏「5Gへの攻撃で国家に大打撃  DX時代は通信がアキレス腱」 ●Wi-Fi 6の使い道を徹底解説 ●セキュリティ人材不足はシェアして解消 ●ビル制御システムはNWで守る ●見えてきた“90GHz帯”5Gの可能性 ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

モバイルテクノミリ波の設計・製造を強力支援
5G時代の多様なニーズに応える!

モバイルテクノがミリ波モジュール設計開発サービスを拡充した。

エクストリーム ネットワークス5万人利用のNWをわずか2名で運用
IT管理者に嬉しいWi-Fi 6対応AP

エクストリームのWi-Fi 6対応APならAI自動RF管理など機能が満載だ。

ネットスカウトシステムズNWを隅々まで可視化してDDoS対策
ボリューム型もL7攻撃も防ぎ切る!

世界最大級の監視システムATLASで全世界のDDoS攻撃を防ぎ続ける!

Synology話題の「メッシュWi-Fi」を選ぶならSynology

ハード性能に加えてソフト機能も充実! ビジネスにも活用できる。

Cloudian HyperStore企業のGDPR遵守を強力サポート!
EB級ストレージを安価に自社構築

Amazon S3と同等のオブジェクトストレージを自社で構築・運用できる

NEC UNIVERGE SVシリーズクラウドとの連携を容易に実現!
新NEC UNIVERGE SVシリーズ

新端末を組み合わせることで、通話にとどまらない充実した機能

アクセスランキング

tc1904
20191017

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます