ICT×未来

<特集>IoTと宇宙(第2回)

これが未来の衛星通信だ!――あらゆるモノをつなぐブロードバンドインフラへ

文◎唐島明子(編集部) 2017.12.14

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あらゆるモノのコネクティビティを衛星通信が担う時代が、あと10年もすればやってくる。自然環境センシングから船・飛行機向けのブロードバンド通信まで、技術革新は猛烈な勢いで進んでいる。

 
衛星通信の主戦場は、地上系インフラが見向きもしないニッチなエリア。ついでに万が一の時のバックアップ回線――。

そんな衛星通信のイメージは、これから10年も経てばひっくり返る。

「衛星通信にあらゆるものの通信を収容していくという発想がある」。こう語るのは、総務省 国際戦略局 宇宙通信政策課 衛星開発推進官の中谷純之氏である。

総務省は2017年8月8日に「宇宙×ICTに関する懇談会 報告書」を発表。報告書には、2030年には衛星ブロードバンドサービスが完成し、自然環境や各種インフラを監視するセンサー端末から、農機・重機・航空機・海洋資源探査船、5Gのバックホールなど、すべてのコネクティビティを衛星通信が提供する未来像が描かれている(図表1)。

 

図表1 5G・IoTなど多様な端末を衛星通信に収容
図表1 5G・IoTなど多様な端末を衛星通信に収容


衛星IoTで位置・自然を監視地上のあらゆるヒト・モノ・コトを、衛星通信インフラでつなぐ。IoT化が本格化するなか、その動きはすでに広がりつつある。

例えば、GPSを搭載したIoTトラッキング端末、「GPSトラッカー」の通信手段として衛星通信を使う動きだ。

GPSトラッカーの多くは、日本では人口カバー率99%を超える3G/LTEのセルラー回線を利用している。しかし、3G/LTEも万能ではない。

「人口カバー率99%のセルラー回線だが、面積で見ると実はカバーできているのは日本全土の70%ほどで、残りの30%はエリア外。しかし、衛星通信ならその30%にもネットワークを提供できる」とGlobalstar Japan代表取締役社長の安藤浩氏は衛星通信ならではカバー力をアピールする。

衛星通信は、セルラー回線のように地域ごとに基地局を打つ必要はない。宇宙に打ち上げた衛星から、電波のビームを照射するだけで、そのエリアの通信環境を整えられる。衛星通信のカバレッジは地球規模だ。アフリカのサハラ砂漠からアルプス山脈、五大陸と三大洋をカバーできる。

そんな衛星通信を利用する同社のGPSトラッカー「SPOT GEN3」には、SOSボタンが付いている。緊急時にそのボタンを押すと、位置情報付きのレスキュー要請が、衛星を経由して世界各地の救助機関に通知される。「これまで全世界で約5300名の人命に関わる救助実績がある」(安藤氏)という。

Globalstar Japan(米国Globalstar)のSOSボタンつきGPSトラッカー「SPOT GEN3」
Globalstar Japan(米国Globalstar)のSOSボタンつきGPSトラッカー「SPOT GEN3」



Globalstar Japanが提供する衛星通信の通信速度は、上下ともに256kbps。地上系ネットワークと比較すると見劣りするかもしれないが、GPSの位置情報とSOSメッセージを送信するには十分なスペックだ。

「今後は自動車、建設重機、農業機械、船舶などのIoT需要を想定している」と安藤氏。対象物のトラッキングはもちろん、温度・湿度・加速度センサーなどを取り付ければ、そのセンサーデータを衛星回線で回収できる。

「今までのIoTは都市部、人が立ち入りやすいところを中心に発展してきた。しかし衛星通信は人が立ち入りにくいところ、例えば自然環境の監視も容易にできる」と総務省の中谷氏は述べる。

衛星通信によるIoTは、一部の領域ではもう始まっているのだ。
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