企業ネットワーク最前線

日本企業がグローバルM2M市場で躍進するための要件[第1回]

M2Mは日本ICT産業の“最後の砦”

文◎松岡良和(アーサー・D・リトル) 2012.02.27

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

国内外を問わず、注目されるM2M。日本のICT産業がこの分野でイニシアティブを発揮していくうえで不可欠な要件とは何か? 第1回は、日本企業にとってM2Mが“譲れない戦いの場”である理由を解説する。


M2Mは通信技術と情報処理技術が高度に組み合わさることで、各産業界、公共インフラサイドがこれまでになし得なかったサービスを実現可能にする新たなICTの代表格だ。各国において様々な出自のプレーヤーが、自社の強みに立脚した個性的なサービスをグローバル視点で展開している。

M2Mの定義はいくつか存在している。「モノ」に通信機能が備わればM2Mと解釈されている世界や、人間を対象とするサービスであっても、それが屋外空間や移動空間のもとで成立しているサービスであればM2Mと位置付けられている場合もある。

このようにM2Mの解釈は広がる一方だが、いずれにせよ日本のICT産業にとってM2Mは、最先端のテクノロジートレンドといった形式的な潮流論として存在するものではなく、今後のグローバル市場で覇権を握り得るか否かの「競争環境としての正念場」であると筆者は捉えている。理由は以下の2点だ。

理由その1:日本の産業界固有の強みが活きるM2M

近頃、ICTの世界で最も有望視されているソリューション領域であるM2Mだが、日本国内における歴史は意外に古い。公共インフラ、物流・輸送といった分野において、通信技術を中核に据えた形態で数多くの事例が展開されてきた。

これらの事例から概ね言えることは、他国と比してサービス水準の高い分野が積極的に「マシンコミュニケーション」の意義と効用を認めてきたという事実だ。

例えば防災の分野である。災害の頻度と影響度の高い日本では、古くから防災における通信技術の高度利用を志向しており、災害の予知予測や予防の手立てとしてM2Mの原型がすでに醸成されている。

他方、世界的に見ると、危惧すべきレベルで自然災害が頻発している地域は限られており、自然災害とあまり縁がない地域では、このような公共インフラの整備をきっかけとしたサービス開発、技術開発は皆無に等しい状況である(図表1)。


図表1 世界主要各国の防災予算(推定)
図表1 世界主要各国の防災予算(推定)


また、物流・輸送の側面においても、日本のサービス水準は古くから非常に高い評価を受けている。1980年代以降、消費者ニーズの多様化に応えるかたちで多品種少量生産が一般化したが、それによって本来訪れるはずの非効率なオペレーションやサービス/商品の物価高を最小限に抑え、新たな全体最適社会を実現させた。

この裏側にあるのは、モノ作りの前後に存在する物流・輸送分野の高度化に他ならず、通信及び情報処理技術が大きく貢献している。

サービス品質が高い分野で通信と情報処理技術を効果的に組み合わせ、別次元の効果・効用を追求することは、歴史的に見て日本企業の“お家芸”のはず。現在、新たな成長ステージが期待されるM2Mの世界で日本企業の躍進が期待されるのは当然の帰結である。

著者プロフィール

松岡良和(まつおか・よしかず)

世界で最初に設立された経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンで、 TIME(Telecommunication/Information Technology/Media/Electronics)プラクティスの日本代表を務める。専門領域は、同分野に対する事業戦略立案、新規事業開発、組織・人事制度改革等。国内最大手システムインテグレーター、会計事務所系コンサルティングファーム、欧州最大手IT・戦略ファームを経て、アーサー・ D・リトルに参画

スペシャルトピックスPR

sumi2001
apresia2001
HACCP2001

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】5G思考 「大転換」を勝ち残るための8つの思考
<野村総研 桑津浩太郎氏>人とAIのハイブリッド <ALSOK>マルチタスク化 <北海道大学 教授 野口伸氏>無人化 <クロサカタツヤ氏>ユーザー企業主導 <Jリーグ、パシフィックリーグマーケティング>デジタルの絆 <時空テクノロジーズ>インタラクティブな共有体験 <東京都、前橋市>つながる都市 <テラドローン>タイムマシン経営

[インタビュー]グレープ・ワン 小竹完治社長「ローカル5Gは地域BWAと全然違う」 [ソリューション特集]SD-WAN & WAF ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

ジュニパーネットワークス“ただのSD-WAN”はもう要らない!
LANもWi-Fiもすべてクラウド管理へ

今必要とされているのは、
“SD-WAN+α”のソリューションだ。

Citrix SD-WANシトリックスといえば「UX重視」
その哲学はSD-WANにも!

情シスも現場も幸せになれる
「SD-WAN」がここにある。

ソフトバンク目的・用途別にSD-WAN使い分け!
ソフトバンクが“3つめ”を出す理由

IaaS利用に最適な新SD-WANで
企業のクラウドシフトをサポート!

ブロードメディア・テクノロジーズAryakaの“SD-WAN as a Service”
なら全部お任せできる!

AryakaのSD-WANはコアからラストマイルまで一括で運用を任せられる

東京エレクトロンデバイスクラウド基盤にお勧めのWAF
高い検知性能でコスト削減

WAF市場のリーダー、F5製品は多角的分析による検知精度の高さが特徴だ

一般社団法人新規事業・新規市場創出研究会国内唯一の5G/6G調査研究会!

「5Gでの日本の遅れを取り戻したい」。5G、6G、MaaSをテーマにした調査研究会が4月に運営開始する。

sXGPsXGPはローカル5G導入の第一歩

まもなく帯域が拡張されるLTEベースの自営無線「sXGP」は、ローカル5G導入のファーストステップとなる!

マクニカネットワークスHACCP対策の切り札となるIoT
LoRaWANで冷蔵庫内もデータ取得

食品業界に義務付けられるHACCP。IoTで手間と人為的ミスを削減できる

住友商事マシネックスついにオラクルがSD-WANに参入!
 クラウド接続に最適な高品質NW

Oracle Failsafe SD-WANは、ネットワーク品質を劇的に変化させる。

APRESIA Systemsローカル5G参入を強力サポート

APRESIA Systemsの「ローカル5Gシステム」はローカル5Gに必要な機能に絞り込み、導入を強力サポート

NECプラットフォームズ教育用ネットワークをトータル提案
IPv6活用でコスト削減・高速化

快適な校内無線LANには、VPNなど校外NWの整備も必要だ!

アット東京AWSやGCPなどメガクラウドに
直結する新時代のデータセンター

アット東京のデータセンターは“つなぐ”価値に磨きをかける!

ヤマハ仮想NWを始めるならヤマハで!

ヤマハの仮想ルーター「vRX」なら、これまでのノウハウをクラウドでも活かせる。

日本ソルテック学校ネットワークを簡単・安価に

日本ソルテックのクラウド管理型無線LANは、専門学校、介護施設を中心に豊富な導入実績!

シスコシステムズ世界で選ばれているオンライン会議
簡単にワンクリックで会議に参加!

Cisco Webexは社内外、誰とでも高品質なオンライン会議が行える。

エイチ・シー・ネットワークス株式会社ネットワークに迫る人手不足の危機
遠隔監視と予防保全で乗り越えろ!

光ファイバの保守現場の深刻な技術者不足。日立金属はどう対応した?

ハイ・アベイラビリティ・システムズ「全て」を一括認証できるSSO
簡単導入でパスワード管理から解放

AccessMatrix USOなら導入や運用も容易にシングルサインオンを実現!

ジェムアルト株式会社マルチクラウド時代の情シスを救う
認証プラットフォーム!

認証・特権ID管理をきめ細やかに! 自社サービスとしても展開可能。

アクセスランキング

tc_banner191122

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます