「BlackBerryの強みは日本でも必ず浸透する」RIMジャパン上野公明社長インタビュー

国内のスマートフォン市場が盛り上がりを見せている。その中でBlackBerryは、使い勝手のよさや強固なセキュリティで法人を中心に地道に加入者を増やしてきた。RIMジャパンの上野社長は「風林火山をモットーにいつの間にか日本で普及しているようにしたい」と語る。

――日本でもiPhoneをはじめAndroidやWindows Mobileなどスマートフォンのラインナップが充実してきました。現在のスマートフォン市場をどのように見ていますか。

上野 日本の携帯電話は他国よりも進んでいながら、他国では使えない機能のために「ガラパゴス」と評されています。その点、日本を含め世界中どこでも使えるスマートフォンに紐付いてマーケットが活性化するのは非常に喜ばしいことです。

――BlackBerryは日本でスマートフォンがまだ珍しかった2006年9月に発売され4年になります。どのような点で他のスマートフォンと差別化を図っていくのですか。

上野 さまざまな機種が発売されている中で、世界中どこに行っても同じ機能を同じように使えるという、本当の意味で均質なサービスを実現しているスマートフォンはBlackBerryだけです。世界175カ国以上で550以上の通信事業者がBlackBerryのプラットフォームとつながり、海外でも日本国内と同じサービスや機能をそのまま使えます。

また、米国のオバマ大統領をはじめとする政治リーダーやビジネスリーダーに愛されているのも特徴です。

こうした方々に愛用されているのには理由があります。第一に、使い勝手がよいことです。他社のスマートフォンや携帯電話を使用したお客様からも「メールを打ったり、読んだりするにはBlackBerryが一番使いやすい」と評価していただいています。

第二に、強固なセキュリティです。米国の大統領は従来、携帯電話やPDAを持つことを禁じられていました。たった1通のメールが国家の安全保障を揺るがすこともあり、もし流出でもすれば大変な事態になるからです。

BlackBerryはもともと各国の政府機関や軍事機関にも採用されるほどのセキュリティポリシーを満たしていたのですが、さらにセキュリティレベルを高めた上でオバマ大統領が所有することを認められました。

今ではほとんどの携帯電話やスマートフォンに搭載されているデータ遠隔消去機能をBlackBerryは他社に先駆けていち早く導入したほか、ハッキングなど外部から侵入できない仕組みになっています。

――つまり、信頼性の高いコミュニケーションツールとして他を寄せ付けない強みがあるということですね。

上野 そうです。携帯電話の電波の圏外にあってもデータ保護のためにデータ消去機能があるのはBlackBerryだけです。その他にも、無線のネットワークを考慮し、添付ファイルのデータ容量を圧縮して送信できます。先日、当社にて検証を行い3.4MBのファイルを添付したメールをBlackBerryで送ったところ、0.2MBと約15分の1になっていました。

この結果はあくまでも一例であり、お客様の環境にもより実際の値は変動しますが、データ容量が大幅に圧縮されることは確かです。そのため、よりスピーディにデータを送受信できるというメリットがあります。

また、無線LANとFOMA、Bluetoothと3種類の無線方式を同時に使えます。無線LANでデータを受信しながらBluetoothヘッドセットで通話するといったことができるので、場所を選ばず利用することが可能です。

月刊テレコミュニケーション2010年5月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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上野公明(うえの・きみあき)氏

1949年12月生まれ。68年3月国立仙台電波高等学校卒業 (現国立高等専門学校機構仙台電波工業高等専門学校)。68年4月三井物産入社(情報通信部門配属)。89年6月米国MCI日本法人代表取締役社長。99年8月フラッグ・テレコム・ジャパン代表取締役社長。2000年8月クウェストジャパン代表取締役社長。02年3月MCIワールドコム・ジャパン代表取締役社長。03年1月GESコミュニケーション代表取締役社長。08年7月リサーチ・イン・モーション・ジャパン代表取締役社長およびリサーチ・イン・モーション(グローバル本社) 副社長、現在に至る

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