スマートホーム標準「Matter」の現在地 NTT東日本やパナソニックも取り組みを本格化

スマートホームの共通規格「Matter1.0」のリリースから1年強が経過し、国内のデバイスメーカーの動きも徐々に活性化してきた。NTT東日本は、メーカーとサービス提供者をつなぐソリューションを開発中だ。

スマートホームの世界標準規格「Matter」。スマートホームデバイス間の相互接続性を担保するという狙いのもと、Amazon、Apple、Google、無線通信規格の標準化団体であるCSA(Connectivity Standards Alliance)などにより、「Connected Home over IP(CHIP)」プロジェクトが2019年よりスタート。2021年5月に「Matter」の名称へ改名された。Matterが本格的に普及すれば、Amazon AlexaやGoogle Home、Apple HomeKitなど、あらゆるプラットフォームでデバイスを横断的に操作することが可能になるのだ。

「まだまだ伸びしろがある」。欧米と比べ、「スマートホームの普及が遅れている」との指摘もある日本だが、Matter認証機関のAllion Labs, Inc.の国内法人であるアリオンジャパン 代表取締役社長の中山英明氏はMatterが推進役になると期待をかける。

アリオンジャパン 代表取締役社長 中山英明氏

アリオンジャパン 代表取締役社長 中山英明氏

「Matter1.2」が追い風に

Matterは、2022年10月に1.0がリリースされ、昨年10月には1.2へバージョンアップされた。Matter1.0は、照明スイッチやドアロックなど一部に対応カテゴリーが限定されていたが、Matter1.2では冷蔵庫やエアコンなど9種類の家電製品が追加された。

図表1 Matter対応カテゴリ―

図表1 Matter対応カテゴリ―

アリオンジャパン Matter研究課 技術統括部 次長の三島デンバー氏によると、これが国内のデバイスメーカーにとって追い風になっているという。「CSAに加盟する国内企業も増加傾向にある。また、対応カテゴリーが増えたことで、Matterに関する問い合わせが多数寄せられている」という。来年度には「Matter1.3」のリリースも予定されており、さらなる対応カテゴリーの拡大が期待される。

アリオンジャパン Matter研究課 技術統括部 次長 三島デンバー氏

アリオンジャパン Matter研究課 技術統括部 次長 三島デンバー氏

例えば、パナソニックグループのパナソニック・ライフソリューションズ・インドは昨年12月、Matterに準拠したルームエアコンを開発。今年2月より、インドの主要販売店およびECプラットフォームで販売を開始している。ターゲットは海外ではあるものの、「パナソニックの動きを皮切りに、国内の同業他社の動きも活性化していくだろう」と中山氏は予想する。

京都に本社を構えるスタートアップ「mui Lab(ムイラボ)」は、スマートホーム向けコントローラー「muiボード」を提供している。今年1月には、Matterに対応した“第2世代”のmuiボードの先行予約を開始。同製品は天然木製である点が大きな特徴で、照明やエアコンなどのデバイスをmuiボードで一括管理できる。手書きや音声でのメッセージの送受信も可能だ。

mui Labのスマートホーム向けコントローラー「muiボード」

mui Labのスマートホーム向けコントローラー「muiボード」。照明やエアコンなどのデバイスをmuiボードで一括管理できる。手書きや音声でのメッセージの送受信も可能(出典:mui Lab)

大きな影響力を持つプラットフォーマーもMatterに力を入れている。「特にGoogleとAmazonの動きが活発だ」と三島氏は言う。Google日本法人は昨年10月、「Matter Developer Day 2023 in Tokyo」を開催。「Matterの最新市場動向」や「Matterで実現したい世界」などをテーマにした講演が行われた。また、Amazon Alexaインターナショナルも同年7月、Alexaに搭載したMatter対応デバイスとの連携を簡素化する機能について紹介する説明会を国内で実施している。

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