Wi-Fi運用効率化でDXシフト 運用人材不足は自動化・外部委託で解決

ネットワーク運用担当者の確保が、企業規模を問わず、大きな悩みの種となっている。その解決策となるのが運用自動化ツールや運用アウトソーシングサービス。Wi-Fiの運用でも利用が拡大している。

オフィス回帰が進んでいる。コロナ禍前より始まっていたオフィスのフリーアドレス化は続いており、固定席で業務する人も減った。オフィス内のどこにいても安定した使えるWi-Fiが今、より求められている。

そこで、普及期に入ったWi-Fi 6/6Eへの期待は大きい。Wi-Fi 6は最大9.6Gbpsの高速通信に加えて、6GHz帯を使用するWi-Fi 6Eは電波干渉の恐れが少ないことが魅力だ。2024年1月8日、さらに高速・低遅延のWi-Fi 7が正式リリースされ、機器の認証が開始されたが、「顧客にはWi-Fi 7機器の導入は急がなくていいと話している。日本市場は長く使えるものを使いたいという考えが多く、こなれたWi-Fi 6製品が最も出荷されている」と、シスコシステムズ アジア地域エンタープライズネットワーキング事業 アジア地域ワイヤレスリードの前原朋実氏は説明する。

シスコシステムズ アジア地域 エンタープライズネットワーキング事業 アジア地域ワイヤレスリード 前原朋実氏

シスコシステムズ アジア地域 エンタープライズネットワーキング事業 アジア地域ワイヤレスリード 前原朋実氏

一方で、同社 エンタープライズネットワーキング事業 シニアプロダクトセールススペシャリストの荒谷渉氏は、「Wi-Fiの規格は進歩しているが、いまだにつながらないというトラブルは多い」と現状を説明する。Wi-Fiの誕生から約25年が経ち、規格上の通信速度は約870倍になり安定性も向上したはずだが、通信障害からは逃れられていない。

シスコシステムズ エンタープライズネットワーキング事業 シニアプロダクト セールススペシャリスト 荒谷渉氏

シスコシステムズ エンタープライズネットワーキング事業 シニアプロダクト セールススペシャリスト 荒谷渉氏

その理由の1つは、Wi-Fiが他の電波の干渉や接続するPCの特性・環境などの他の要素の影響を受けやすい性質を持つからだ(図表1)。加えて、ビデオ会議、業務に利用するタブレット、IoT機器といった、近年出現し定着したツールのほとんどがWi-Fiを利用し、かつミッションクリティカルであるという点も荒谷氏は挙げる。

図表1 Wi-Fiを取り巻く変化

図表1 Wi-Fiを取り巻く変化

そこでWi-Fi運用のさらなる高度化が不可避となっている。だが、人手不足に悩む各企業にとって、ネットワーク運用を十全に行うのは容易ではない。「ひとり情シス」の言葉に象徴される、少ないIT担当者に業務が集中してしまう旧来からの傾向に加え、直近ではそうしたIT人材は企業活動のDXにシフトしており、ネットワークを運用する人材がますます不足していると荒谷氏は述べる。さらに、SDGsへの対応や、激化するサイバー攻撃への対処など、IT部門で対処すべき問題は増加の一途を辿る。「この流れはどの業種・業界でも同じ」であり、運用業務の効率化が強く要請されている。

こうした問題を各ベンダーは、Wi-Fiにおいては可視化と運用自動化機能の強化で解決しようとしている。シスコの「Catalyst Center」はオンプレミス管理ツールの代表的存在だ。通信の快適性を可視化し問題発生箇所を直ちに特定したり、アプリケーションごとのパフォーマンスをピンポイントで確認できるなどの徹底した可視化機能で運用をサポートする。膨大なログ解析作業や電波環境調査にはAIを活用し、運用負荷を削減する。

ネットワークにおけるSDGs対応も支援する。企業活動において環境への配慮を行うことの重要性は認識されていても、具体的な対策は後手になりがちだ。シスコのアクセスポイント(AP)は、通信量に応じて電波のオン・オフを切り替え、大きな節電効果を発揮する(図表2)。切り替えはタイマーではなく、使用状況を学習して行うので、業務に支障を来すことはない。特に、6GHz帯を搭載するWi-Fi 6Eでは3バンドになるため、その効果はさらに大きくなる。AP1台につき年間37kWが節電でき、CO2排出量に換算すると14kgにも上る。

図表2 省電力機能による消費電力削減

図表2 省電力機能による消費電力削減

ほかにも、電波の自動最適化機能や、攻撃への自動対応など、シスコのWi-Fiソリューションは多彩かつ高度な機能でネットワーク運用の負荷を軽減する。また、企業のニーズに応じ、オンプレミスからクラウド型管理ツール「Cisco Meraki」への移行も簡単なステップで行える。前原氏は、「負荷削減は人材のDXシフトにもつながる」と話し、むしろネットワーク運用の効率化が企業変革のチャンスになるとも説く。可視化・運用自動化が、人材の“適材適所”の配置に貢献するというわけだ。

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