「パワーも電力もないエッジをどう使うか」 レッドハットVPが語る解決策

通信事業者がB2Bビジネスで稼ぐには、5Gとエッジコンピューティングを活かした産業向けソリューション開発が欠かせない。だが、厄介な課題もある。“エッジ”は処理能力と電力が不足しがちなことだ。Red Hatで産業分野のシニアバイスプレジデントを務めるダレル・ジョーダン-スミス氏に、その解決策と海外の先進事例について聞いた。

――Red Hatは産業界向けのエッジコンピューティング領域に注力しています。通信事業者が5Gの低遅延通信やMECを活用して新ビジネスを創出しようとしている領域でもありますが、最近の注力ポイントについて教えてください。

ダレル・ジョーダン-スミス(以下、DJS) エッジの課題は、使えるコンピューティングリソースや電力に制約があることです。小型のエッジデバイス上でも低負荷にアプリケーションが動作すること、かつ、多数のエッジデバイスを展開する大規模な環境を効率的に運用管理できることが求められます。

Darrell Jordan-Smith (ダレル・ジョーダン-スミス) 氏

Darrell Jordan-Smith(ダレル・ジョーダン-スミス)氏。レッドハット インダストリーズ&グローバルアカウント部門のシニアバイスプレジデントを務める

我々は2022年後半に、「Red Hat Device Edge」という新ソリューションを発表しました。これは、Kubernetesコンテナ・プラットフォームである「Red Hat OpenShift」を軽量化したもので、シングルバイナリ※化したコンテナ上でアプリケーションを稼働させることができます。

フットプリントが非常に小さく、ハードウェアへの負荷を非常に低く抑えることが可能です。MicroShiftと呼ばれるオープンソースを活用したもので、Kubernetesを大規模なクラウドから小さなエッジでも使えるようにすることを目的に開発しました。

※ シングルバイナリ:単一のバイナリファイルで実行可能なプログラム。共有ライブラリに依存しないため、デプロイ、インストール、運用が容易になる

持続可能な5Gネットワークを追求

――リソースが限られたエッジデバイスにアプリケーションを展開するのに適しているわけですね。

DJS 重要なのは、このRed Hat Device Edgeが、我々のテレコム分野への投資の結果として開発されたという点です。つまり、5Gのユースケースを基に作られたソリューションなのです。

Red Hat Device Edgeは現在、Developer Previewの段階ですが、すでに製造業や小売業、そして通信事業者と、これを活用したアプリケーション開発が行われています。正式公開(GA)は2023年後半の予定です。

―― 通信事業者とは、どんなソリューションを開発しているのですか。

DJS RAN(無線アクセスネットワーク)、MEC、CPE(宅内通信機器)です。ベライゾンやAT&T、テレフォニカ等と協力しています。

テレコム分野における我々のフォーカスポイントの1つが、サステナビリティです。5Gネットワークは今後、現在の5倍程度の無線容量が必要になると予測されており、そのままでは当然、電力も5倍になります。省エネルギー性をいかに高めながら5Gを展開できるかが重要であり、インテルやエリクソンと協力して電力消費を抑えるソリューションを開発しています。

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