「どの通信事業者も、これまでの自前主義から脱却しなくてはならないと感じているはずだ」。今後のBSS/OSS動向について、NTTコムウェア NTT IT戦略事業本部 IT戦略部グループIT戦略部門 部門長の鍬形武史氏はこのように語る。
BSS(Business Support System)とは、通信事業者向けの業務支援システムの総称であり、「ユーザーからの申し込み受付、サービス提供、契約管理、料金計算、請求、回収、収納、督促という一連のプロセスで使われてきた」とNEC 第二ネットワークソリューション事業部 横井裕氏は説明する。OSS(Operation Support Systems)は、ネットワーク運用を支援するもので、スイッチなどのネットワーク機器の設定管理から、ネットワーク全体を見渡して障害を検知するなどの機能が対象だ。
BSS/OSSは通信事業者にとって事業の根幹を担うものと言える。通信事業者は従来これらのBSS/OSSを自社の業務プロセスに沿って内製してきた歴史がある。通信事業者が「回線」のみを提供していた時代にベースが構築されたことから、現在では様々な弊害が出ている。「現在の通信事業者のBSS/OSSの多くは、3Gが出た2000年頃、あるいは4Gが出た2010年頃のシステムがベースとなっている。10~20年前のアーキテクチャで作られたシステムを、増改築を繰り返しながら運用しているのが実態だ。長年運用し続けたことによるアーキテクチャの老朽化や、増改築を続けた結果としてのブラックボックス化、サイロ化が発生してメンテナンス性が低下している」と横井氏は指摘する。
今や、通信事業者は回線の提供だけでは食べていけない時代だ。「GAFAに代表される様々なプレイヤーが回線と一体となったサービスを提供するようになった。品質の高いインターネット電話なども普及し、通信品質だけで差別化は困難だ。どの通信事業者も回線だけを売るビジネスモデルから脱却しようとしている」(鍬形氏)
実際、大手通信事業者はB2B2Xと呼ばれるビジネスモデルへの転換を急いでいる。そしてB2B2X実現のために、パートナーとの共創に適したBSS/OSS(図表1)が必要になっているのである。
図表1 B2B2Xのイメージ