パナソニック コネクティッドソリューションズ社（パナソニック CNS社）とパナソニック システムソリューションズ ジャパン（PSSJ）は7月19日、サプライチェーンマネジメント（SCM）領域における「現場プロセスイノベーション」の国内戦略と、新たに追加するSaaS型業務アプリケーション「現場最適化ソリューション」を発表した。

現場プロセスイノベーションは、製造、物流、流通、公共、メディア・エンターテイメント、航空の事業領域に対して、同社が製造業で培ったノウハウとテクノロジーを、最新のエッジデバイスと組み合わせてソリューションとして提供する事業だ。

現場プロセスイノベーションの全体像

今回フォーカスした製造、物流、流通のSCMの現場では、業務プロセスの可視化、定義が出来ていないこと、各業務プロセス間の連携不足による待ち時間・迷う時間の発生、各業務プロセスに標準値・基準値がないことなどが課題となっている。

こうした課題に対してパナソニックは、画像認識とセンシング技術を活用し、現場を可視化。各業務プロセスにおいて、作業ごとの所要時間や、必要な人数、スタッフごとの作業効率の差などの実態を把握し、業務最適化を支援するエッジデバイスやソフトウェアを提供する。

現場プロセスイノベーションのビジネスプロセス

パナソニック CNS社の上席副社長 兼 PSSJ 代表取締役社長の片倉達夫氏はこう話した。

「日本でDXを導入する際によくあるのが、現場の業務プロセスを定義しないまま、あるいは標準値を策定しないままデジタルのみを導入するパターン。これではどこに真の課題があるのかが把握できないままデジタル化だけを行うことになり、現場の改善は期待できない。当社は業務プロセスを標準化し、アナログな現場の課題を明確にしてからシステムを導入する。そこに荷物数や販売数、顧客数などのデータを組み合わせることで、デマンドに対応した作業計画・人員計画などを作ることが可能になる。複雑な現場をデジタルで計測可能にして現場の課題を解決することが、つまりは現場プロセスイノベーションだ」

（右）パナソニック CNS社 上席副社長 兼 PSSJ 代表取締役社長 片倉達夫氏、
（左）パナソニック CNS社 常務 兼 PSSJ 取締役 執行役員副社長 山中雅恵氏

コスト10.8％削減の実績も今回新たに発表されたSaaS型業務アプリケーション「現場最適化ソリューション」は、サプライチェーン現場のあらゆる工程を可視化する「可視化アプリケーション群」と、シフトや輸配送の計画等を最適化する「最適化アプリケーション群」から成る。

現場最適化ソリューションの位置

流通における現場最適化ソリューションの活用イメージ

パナソニック CNS社 常務で、PSSJ 取締役 執行役員副社長の山中雅恵氏は、物流現場を例にこう説明した。

「倉庫内では、荷物が入庫されてから出庫されるまで、入庫、ピッキング、仕分け、積み込みなど様々な作業がある。しかし完了タイミングがバラバラで同期が取れていないため、非効率に進められており、庫内では人やモノが滞留。またトラックの待ち時間なども発生している。これらの課題を解決するために、まず輸配送最適化アプリケーションによって荷量を予測し、それに即した輸配送計画を策定する。さらにその情報をシフト最適化アプリケーションにインプットすることで、荷量に合わせたシフト計画を立て、倉庫内における各作業を最適化する」

実際に同社の「彩都パーツセンター」に、現場最適化ソリューションを含めた現場プロセスイノベーションを導入したところ、ピッキング工数は2017～2019年の3年間の平均で25％アップ。コストは10.8％削減、分析工数は2016年の600分から15分に削減できた実績がある。

パナソニックは今後、現場プロセスイノベーション事業の人員を約3000人まで増やし、国内推進体制を強化するとしている。