「我々はCPU企業から“XPU”企業に変わろうとしている」
「ワイヤレスジャパン 2021」の基調講演に登壇したインテル 新規事業推進本部 クラウド・通信事業統括部長の堀田賢人氏は、同社が目指す方向性をこう話した。
インテル 新規事業推進本部 クラウド・通信事業統括部長の堀田賢人氏 |
CPU専業というイメージもあるインテルだが、現状は異なる。昨今需要が高まっているGPU、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路)など、「ありとあらゆるプロセッサー・ユニットを製品ポートフォリオとして持っており、それをXPUという言葉で表現している」と堀田氏は説明した。
その背景にあるのが、データ中心社会の到来だ。
膨大なデータがクラウドに集約され、あるゆるモノがネットワークにつながりつつある中で、インテルはデータの価値を最大限に引き出し、“攻め”のビジネスを展開するためには「データ・セントリック・トランスフォーメーション」が必要だと打ち出している。
インテルが注力するのは、この変革のカギを握るクラウド、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)、AI、5G、エッジの5つの分野。いずれの分野もビジネスニーズがダイナミックに変化していることから、半導体のパフォーマンス向上による柔軟性の実現を目指しているという。
クラウドや5G、エッジなど5分野に注力する |
では、インテルは具体的にどのような変革を進めているのか。堀田氏は、注力分野の1つである5Gを例に紹介した。
インテルのパートナーには、国内4キャリアをはじめ、各国の大手キャリアが名を連ねる。通信キャリアの間では最近、汎用サーバーを用いてRAN環境を仮想化(vRAN)する動きが加速しているが、このうちDU(Distributed Unit)については「本当に仮想化すべきなのか、仮想化するのであればどのようなプラットフォームを使うべきなのかといった議論が世界中で活発に行われている」(堀田氏)。
インテルの製品は5Gをエンド・ツー・エンドでカバーする |
そうした中で、インテルのvRAN Accelerator(インテル® FPGA PAC N3000,インテル® vRAN専用アクセラレーター ACC100)製品は、「1つの選択肢として選ばれている製品」であり、米ベライゾンや英ボーダフォンなどが同製品を用いてvRANを実現しているという。
vRAN以外では、例えば米AT&Tは、CPUとインテル® Optane™ パーシステント・メモリーの組み合わせにより、より少ないノード数でCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の容量を拡大し、TCOを削減した。
また、韓国SKテレコムは、同社のCPUとイーサネット・アダプター、NFVソリューションを採用。クラウド環境でのコアネットワークの高速化を実現している。