Web会議「Fresh Voice」のエイネットが新戦略「テレビ会議連携でターゲット拡大」

サーバー導入型Web会議を開発するエイネットが、テレビ会議端末と連携できる新製品の販売を開始した。競争が激化するWeb会議市場で、ハイエンドユーザーを取り込む独自の戦略を進めている。

移動・出張費の削減などを目的として、映像会議システムを導入する企業が増えている。その牽引要素の1つとなっているのがWeb会議だ。

映像会議システムは、図表1に示したように、専用端末型のテレビ会議システムと、PCを端末として用いるWeb会議に大きく分けられる。Web会議はテレビ会議システムに比べて導入コストが低く、PCで利用できるため利用場所の制約が少ないのが特徴だ。据え置き型の専用端末を会議室に設置し、そこに利用者が集合して遠隔会議を行うのがテレビ会議の一般的なスタイルだが、Web会議の場合は、自席のPC、あるいは社外でノートPCからでも個人レベルで会議に参加したり、1対1や少人数でのミーティングを行ったりできる。

図表1 テレビ会議/Web会議の特徴
図表1 テレビ会議/Web会議の特徴

また、テレビ会議は参加者の表情なども高画質映像でリアルに伝え、臨場感の再現に重きを置いているのに対し、Web会議はPC内の資料・データ共有のしやすさなどに特徴を持つ。

こうしたことから、Web会議市場はここ数年、中堅中小企業への普及、さらには「会議室以外」での映像コミュニケーションの利用シーンの拡大を軸に成長を続けてきている。

専用端末とWeb会議が連携

2000年からコンシューマー向けにインターネットビデオ通話ソフトの無償配布を開始し、2003年から法人向けにWeb会議システム「Fresh Voice」の開発・販売を行っているエイネットは、この市場の草分け的存在だ。

Web会議は、クライアントサーバーシステムとして導入する形態――サーバーインストール型(SI型)と、サーバー導入やPCへのソフトウェアインストールが不要なASP/SaaS型のWeb会議サービスとに分けられる。ASP型は、言うまでもなく初期コストの低さが特徴で、現在、急成長している。一方、SI型は、長期間使用する場合の費用対効果に優れ、またセキュリティへの要求が厳しいユーザーを中心に選択されている。さらに、ユーザーの利用目的に合わせてカスタマイズし、Web会議をベースとした遠隔教育・研修や、受付窓口といった専用システムを開発する事例も増えてきている。

エイネットのFresh VoiceはSI型に属し、これまで1800社のユーザーを獲得。特に官公庁や国立大学に多くのユーザーを抱えている。多数のベンダーがひしめく同市場にあって、富士キメラ総研の調べによれば、SI型のWeb会議システム市場で、2005年から2008年までシェア1位(導入社数)を記録している。

その同社が現在、Web会議事業の拡大を睨んで注力しているのが、従来専用端末型のテレビ会議を利用してきたハイエンドユーザーの取り込みだ。

月刊テレコミュニケーション2010年2月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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